愛情過多につき注意♡

みにとまと

第一話 甘やかされすぎな朝

柔らかなシーツに包まれたまま、アキはまだ夢と現実の境目にいた。


「……アキ様」


 耳元で、低く穏やかな声がする。

 ゆっくり目を開けると、すぐそばに蒼がいた。起き抜けとは思えないほど整った様子で、静かにこちらを見下ろしている。


「もう朝……?」


「ええ。でも、無理に起きなくても構いませんよ」


 その言葉に、少し離れた場所から声が飛んだ。


「ほらな。朝から甘やかし全開だ」


 椅子に腰掛け、腕を組んでいるのはレオだ。

 呆れたような口調だが、視線はきちんとアキに向けられている。


「昨日遅かったんだろ。もう少し寝かせてやれよ」


「だから、そう言っています」


「言い方が違うんだよ」


 レオは肩をすくめた。


 アキは二人を見比べて、思わず小さく笑う。


「……まだ、ここにいたいな」


 その一言で、蒼の表情がふっと緩んだ。


「ええ。では、そのままで」


 そう言って、蒼はアキの手をそっと包む。

 指先に伝わる体温が、必要以上に優しい。


「ほらな」


 レオは小さく息を吐いた。


「完全に離す気ないだろ」


「当然です」


 即答だった。


 アキはくすっと笑って、レオの方を見る。


「レオも、こっち来なよ」


「はいはい」


 文句を言いながらも、レオは立ち上がり、ベッドの端に腰を下ろす。

 軽く、乱れた髪を整えるように撫でた。


「起きたら飯だ。今日はちゃんと食べろ」


「レオって、ほんと現実的」


「誰かがやらないとだろ」


 そのやり取りを、蒼は少しだけ不満そうに眺めている。


「……アキ様」


「なに?」


「もう少しだけ、こちらを向いてください」


「はいはい」


 アキは目を閉じたまま、二人の気配に身を委ねた。


 何でもない朝。

 けれど、この時間があるから、今日も大丈夫だと思えた。

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