第23話 間取り
話し終えた小鳥遊が
「ふぅ」と溜息を吐き出した。
私はかける言葉が見つからず黙り込んだ。
「ごめんなさい、
変な空気にして。
気にしないでね。
もう彼のことは何とも思ってないから」
そして小鳥遊は微笑んだ。
今の話を聞いて1つの謎が解けた。
ここ最近、
小鳥遊は1人で店に来ていた。
それほど酒が好きではない彼女が、
どうしてだろうと
不思議に思っていたのだ。
「失礼します」
その時。
ふいにドアが開いて、
ステンレスワゴンを押した
男装の麗人が入ってきた。
彼女はテーブルに
ティーポットと3つのカップを並べた。
「紅茶で宜しいでしょうか?」
「ありがとうございます」
私と小鳥遊は同時に頭を下げた。
直後。
部屋の柱時計がボーンボーン
と12時を告げた。
「いやあ、すごい建物だね」
その音に重なって、
ドアの方から声がした。
「てっきり普通の一軒家とばかり
思ってたんだけどね。
これはまるでホテルだね。
流石、大烏くんだ」
歌川は
部屋の中を見回しながら入ってくると、
私の隣に腰を下ろした。
「それで。
大烏くんはどのくらい
遅れそうなんですかね?
えっと・・」
「申し遅れました。
江藤(えとう)と申します。
大烏様は急用ができたとのことで
もうしばらく時間がかかると
仰っていました」
「へぇ。
探偵業の方が忙しいのかねぇ」
「1つ気になったのですが・・」
小鳥遊が遠慮がちに口を開いた。
「この辺りは
電波が届いていないようですが、
どうやって連絡が取れたのですか?」
尤もな質問だった。
「大烏様と本田、そして私の部屋、
あとは厨房にも固定電話があります。
本田というのは執事で、
今、中庭で
バーベキューの準備をしています」
「中庭というのは
2階の廊下の窓から見える
あの場所のことですかな?」
「はい。
中庭への出入りは
右棟からしかできません」
そう言って江藤は
この建物の間取りについて説明を始めた。
建物は真上から見ると
凹の形をしているらしい。
そして。
外観からもわかっていたが、
建物の左棟だけが2階建てになっていた。
左棟の1階には4つの部屋があって、
手前から
応接室、遊戯室、食堂、厨房
と並んでいる。
遊戯室は他の部屋の2倍の広さがあって、
食堂と厨房は部屋の中にあるドアから
行き来できるようになっているらしい。
廊下の一番奥には2階へ続く階段があって
2階には全部で5つの部屋がある。
ここまでは見てきた通りだ。
一方。
建物の右棟にも4つの部屋があった。
一番手前は空き部屋で、
その隣が江藤の部屋、
そして本田の部屋と続いていた。
一番奥が大烏の部屋で
そこは遊戯室と同じように
他の部屋の2倍の広さになっているそうだ。
そして。
右棟の奥、
廊下の突き当たりに
中庭へ抜ける出入口がある
とのことだった。
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