第17話 門

目の前に大きな洋風の門があった。

所々に錆が目立つ漆黒のその門は

そこから伸びている

古めかしいコンクリートの塀と同様に

やや古びていた。

そして無機質なコンクリートの塀は

来る者を拒絶するかのように

外界との境界線をはっきりと引いていた。

しかし周囲に他の建物は見当たらない。

それならば。

これほど強固な境界線を

引く意味がないようにも思えた。

静かだった。

なんて寂しい処だろう。

それが第一印象だった。


鳶が「ピーヒョロロ」と啼いていた。


先頭に立つ歌川が門に手を掛けると

その漆黒の門は

するりといとも簡単に内側に開いた。

2人に続いて私も中へ入った。

それから振り向いて門を閉めた。

途端に門の向こうが遠い彼岸に思えて

私はしばらくその場で立ち尽くしていた。

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