とある駅員の憂鬱(⭐︎)
@SugerLily
とある駅員の憂鬱
駅の事務所
呆然としている駅員。
そこに、同僚の友川が入って来る。
友川
「おーい、お疲れー。」
駅員、大きな溜め息。
友川
「さっきのそんなにマズかったの?本社案件?」
駅員
「……何とも言えん。」
友川
「おう……?」
駅員
「取り敢えず、あのおじさんは要注意だと思う。」
友川
「前と同じ感じ?」
駅員
「……未遂じゃなぁー。注意くらいしかなぁー。」
友川
「……無茶する前に言えよ?」
駅員
「いつもすまん。」
駅員、女性の変化を思い出して身震いする。
友川、駅員の肩を叩いて出ていく。
駅員
「なんなんだよ、変なヤツ多過ぎんくない?最近。」
髭面
「だよなぁ。多いよなぁ。」
駅員
「俺、呼び寄せてるんかなぁ……。」
髭面
「そうかもしれんな。」
駅員
「お前もだよ。どっから入ってきた?」
髭面、驚く。
駅員
「何でアンタが驚く?」
髭面
「あんたが驚かないから。」
駅員、大きく溜め息を吐きつつ顔を伏せる。
髭面
「相当お疲れのようだな。」
駅員
「あぁ。」
髭面
「何があったの?」
駅員
「世の中の人間は、電車が動物に見えたり、花粉が敵に見えたりするらしい。」
髭面
「へぇ。」
駅員
「俺は今、変な幻覚が見えてる。」
髭面
「春だからじゃねぇ?」
駅員
「もう初夏だぞ?」
髭面
「そっかぁ。」
駅員
「……どうせなら可愛い子が良かった。」
髭面
「おいおい。」
駅員
「どうせなら、巨乳で色白で凄く可愛い子が良かった!」
駅員、顔を上げて髭面を睨みつける。
髭面、たじろぐ。
髭面
「何か勘違いしてるみたいだけど、俺は生きてるぞ?」
駅員
「はいはいそーですか。」
髭面
「本当だって……。」
駅員
「んで、生きてるヤツが何のご用事で?」
髭面
「……。」
駅員
「無いなら帰れよ。」
髭面
「いやぁ、お疲れの君を癒してあげようかなと思ってね。」
駅員
「じゃあ、ど天然癒し系アイドル出せ!今!直ぐに!」
髭面
「……。」
駅員
「出来ないだろ?」
髭面
「周りがみぃんな、あんたのタイプに見える魔法なら掛けられる。」
ドヤ顔の髭面。
睨みつける駅員。
駅員
「他の人から見たら、おっさんって可能性もあるんだろ?」
髭面
「……。」
駅員
「それになぁ、皆がタイプになったら疲れて仕方ねぇよ。」
髭面
「何でだ?」
駅員
「緊張すんだろ?
大勢の中から探し当てて出会えたら、それで幸せなんだよ!」
髭面
「……。」
駅員
「俺の幻覚の癖にそんな事も分かんねぇ?」
髭面
「……。」
駅員
「とっとと帰れ!
少なくともお前は俺のタイプじゃねぇ。」
髭面、悲しそうに消える。
駅員、大きな溜め息と共に上を仰ぐ。
友川、心配そうに入って来る。
友川
「巨乳がどうとか叫び声が聞こえたけど。」
駅員
「俺、とうとう仲間入りしたみたい……。」
友川
「はい?」
駅員
「変な髭面が見えだした。」
友川
「あー。」
駅員
「お前も見えんの?」
友川
「いんや。たださ、お前のは悪夢じゃん。」
駅員
「全部悪夢だよ。」
友川
「違うっしょ。」
駅員
「何でさ。」
友川
「お前のだけ悪夢なんだよ。だから、戻って来たんだと思う。」
駅員
「……。」
友川
「お前は大丈夫だよ。」
友川、駅員の肩を叩く。
友川
「一応、良い病院なら紹介出来るぜ。」
駅員
「要らねぇよ。」
友川
「まぁ、休める内に休め。」
駅員
「やっぱ、お前も変だと思ってんじゃねーか。」
友川
「そりゃあ、大声で巨乳って叫んでればねー。」
駅員
「……。」
友川
「ここ職場だし。」
駅員
「あ。」
友川
「ま、聞こえなかった事にするわ。」
駅員
「……何か奢るよ。」
友川
「いいよ、缶コーヒーで。」
駅員
「……ありがとう。」
二人、事務所を後にする。
事務所の窓ガラスに黒い影が見える。
とある駅員の憂鬱(⭐︎) @SugerLily
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