ようやく魔王城に着いたのに勇者が魔王に告白しちゃった!?

西弓 空海

第1話 恋は時と場所を選ばない

まだ、正午を過ぎたばかりだと言うのに空はまるで夜のように暗い。

この辺りは数千年の間、ずっと黒い雲で覆われているのだ。

そのためか辺りの草木は枯れており、天気も相まって、まるで夜の墓地のような不気味さを感じてしまう。

こんな場所、好き好んでくる奴は居ないが、俺たちは今日、三年かけてようやく来ることができた。


「遂にここまで来たな!」


俺は一緒に来た仲間たちを背にして、目の前に立つ不気味な城を見上げる。

すると、後ろにいた神官であるヒロと魔法使いであるローアが俺の隣まで歩いてくる。


「ここが魔王城ですか。近くで見ると随分と大きい」

「いったいどれだけの魔物が中にいるのかしら?」


俺たちが王から魔王討伐を依頼されてから三年。

数々の魔物と戦い、ついに魔王城の前までたどり着くことができた。

思えば長い旅路だった。

だがそれも今日で最後だ。

今日、俺たちは魔王と対峙し、そして勝利を収め、国に帰るのだ。


「ヒロ、そしてローア。よくここまで一緒に戦ってくれた。だがそれも今日で最後だ。今日、必ず勝って、国に帰ろう」

「えぇ、もちろんですよユウキ様。国で待っている国王陛下達に良い報告をするためにも今日で終わらせましょう!」

「そうね……ユウキ、帰ったら伝えたいことがあるの。聞いてくれる?」

「なんだよローア。今じゃだめなのか?」

「今はダメよ。戦いの邪魔になっちゃうかもしれないから」

「そうか。じゃあ勝ったら聞くわ」

「勝ったら、はあまり感心しませんね。絶対に勝って聞くと言う風にしましょう」

「はは、確かにヒロの言う通りだな。じゃあ――」


俺は大きく息を吸う。

そしてゆっくりと息を吐き、腰にある勇者のみが扱えるとされる勇者の剣を引き抜き、空に掲げる。


「行くぞお前ら!!」

「はい!」

「えぇ!」


俺たちは声を上げ、魔王城へ突入する。

目の前の扉を勢い良く蹴破り、それぞれの武器を構えながら城の中に入る。

しかし、そこには魔物の姿はなく、蹴破った時に出た音が反響する程の静寂が広がっていた。


おかしい。

他の魔物が住み着いていた建物や城には沢山の魔物が住み着いていた。

中には入った瞬間、瞬時に数えることができない程の魔物に襲われることもあった。

それが魔王城となれば今までの数とは比べようもない数の魔物に襲われるに違いないと思っていた。

だが、実際は襲われるどころか魔物の姿も見当たらない。


「待て。魔王城なのになんでこんなに静かなんだ!?」

「魔物の気配もしませんね」


ヒロの言う通りだ。

こちらの存在に気がついてないと言うわけではない。

気配で分かる。

この城には魔物が居ないのだ。


俺たちは話し合い、一度武器を収め、魔王城内を探索することにした。

しばらく建物内を歩いているが、やはり魔物がいる気配がない。

と言うか魔物がいた形跡がない。

城内は汚い訳では無いが埃っぽく、部屋に置かれた家具も長年使われた様子がない。

そのことからこの城に住んでいる魔物は相当少ないことが予想される。

明らかに今までの戦いとは雰囲気が違う。


「それだけ自分の力に自信があると言うことなのか」

「流石魔王と言うところでしょう。村や街を襲っていた魔物とは格が違います。恐らくここにいる魔物は魔王たった一人でしょう」

「ねぇあそこ――」


俺はローアが指を差した方向を見る。

目に入ってきたのは、魔王城をしばし探索してきた中で一番豪華な扉だった。

しかも中からはここに入って初めて感じる魔物の気配。

いや、魔王城どころの話ではない。

今までの戦いで感じてきた魔物の気配よりも遥かに上の存在が中にいることが分かる。

気配的に中にいるのは一人だ。

と言うことは中にいるのは必然的に奴だ。


「あの先にいるのか?」

「そうでしょうね。今まで感じたことがないぐらいの強敵の気配を感じます」

「そうか。なら開けるぞ!」


俺たちは魔王城に入ってきた時よりも静かに、そしてゆっくりと扉を開け、中を確認する。

中は如何にも王が存在する部屋という感じだ。

長く、そして血のような真っ赤なカーペットが敷かれ、所々黄金の装飾がついている。

そしてそのカーペットの先には階段があり、その上には黒い影が座ってこちらを見ていた。


「ふ。よく来たわね勇者よ」


そう言ってニヤリとこちらを見る存在。

俺は衝撃を受けた。

見た目こそはあまり人と変わらない。

だが紅の長い髪。そして頭から生えた太く、漆黒色の角。

そして黒いマントを羽織り、肘掛けに寄りかかる姿はまるで悪の女王を連想させる。


魔王が女だと?

いや魔王に性別など関係ない。

だがあの姿は、まさか?


「あ、あんたが魔王、なのか?」

「ふふ、そうよ。そう言えば顔を見合わせて会うのは初めてだったかしら? では改めて自己紹介しましょう。私は魔王ヴェラ。歓迎しましょう勇者共よ!」


そう言って魔王は椅子から立ち上がり、マントをなびかせながらこちらに向かって階段を降りてくる。

それを見て二人は冷や汗を垂らしながら、それぞれの武器を構える。

そして俺はと言うと――。


「ユウキ?」

「どうなさいましたか?」


二人が心配そうに俺に声をかける。

だが二人の声を俺は無視し、魔王の元へ近づく。


「ほう? 勇者の剣も抜かずに来るとは、随分と威勢が良いじゃない」


そう言い魔王は、途中で階段を降りるのを止め、見下ろすような体勢で俺を見てくる。 

だが俺は怯むことなく階段を登り始め、魔王との距離が数メートルと言う所で魔王の顔を見る。


あぁ、間違いない。

俺の目に狂いはなかった。

気のせいじゃなかった。

俺は魔王の目の前で右膝を地面に付け、そして魔王に向かって右手を伸ばす。

そして俺は、俺の想いを魔王にぶつけた。




「好きです結婚してください!」

「「「……は?」」」


魔王城に静寂が流れる。

だがさっきの不気味さがある静寂とは別物。

緊張感の欠片もない、なんとも気の抜けた静寂が部屋中に広がっていた。

そしてこの静寂を最初に破ったのは魔王だった。


「すまん勇者よ。魔王も聞き間違いはするものだ。もう一度と言ってくれないか?」

「好きです結婚してください!」

「駄目だ聞き間違いじゃなかった!」


魔王は頭を抱える。

それもそうだ。

誰も予想していなかった。

まさか魔王を討伐しに来た勇者が、急に目をキラキラさせて魔王に告白するとは誰も想像できまい。

それは勇者の仲間である二人も同じこと。

まるで石化の魔法でもかけられたかのように固まっている。

すると急に冷静になったのかヒロが血相を変え、俺の元に駆け寄った。


「何を言っているのですかユウキ様ぁぁぁ!?」


今まで長く共に過ごしていたがヒロがここまで大声を出したことはない。

お前そんなデケェ声出せたんだな。

ちょっと意外だ。


「すまんヒロ。俺、この人めっちゃタイプ! 結婚したい」

「落ち着いてくださいユウキ様。そいつ魔王です!」

「魔王だろうが関係ねぇ! 俺はこの人を愛している!」

「おのれ魔王め! ユウキ様に誘惑の魔法を使いよって!」

「使ってないが? そもそもそんな魔法ないが?」


魔王は頭を抱えたまま答える。

あぁ、そのお顔も素敵です魔王、いや魔王様。

まさかこんなところにいるとは思いもしなかった。

俺が想像する理想の女性がまさに今、目の前にいるのだ。

魔王とか勇者とか関係ねぇ。

俺はこの人と結婚したい。

すると、頭を抱えていた魔王は困惑した表情を浮かべ、俺たちに提案を投げる。


「あぁ、その、なんだ。今日のところは見逃してやるから一旦帰れ。帰って冷静になってから出直して来い」

「魔王様魔王様! 今がチャンスなのによろしいのでしょうか!?」


裏に隠れていたのか、コウモリ型小さな魔物が魔王の元に飛んできて魔王に問う。


「いや、だって。これが魔王と勇者の戦いなの? これ勝っても嬉しくないわよ」

「ユウキ様お願い正気に戻って! 魔王に気を使われてるから!?」

「俺は正気だ! 本気で魔王を愛している! さぁ魔王様、僕と一緒にお茶でもしましょう」

「くたばれ馬鹿野郎が!」


そう言って魔王は俺たちに向かって魔法を放ち、辺りに大爆発を起こした。


俺たちが魔王城に突入して数時間後、魔王城付近にあった洞窟で、俺はローアに正座をさせられていた。


「何か言うことはあるかしらバカ勇者」

「俺は悪くねぇ」

「ガチ目に死になさい!」


怒られるのは理解できる。

魔王討伐を依頼された俺が、その討伐対処に告ったんだからキレられて当然だ。

だがローアよ。

お願いだから魔法を使う時に使う杖で殴ろうとしないでくれ。

それは魔法を使うための物であって殴るものじゃないぞ。


「まぁまぁ落ち着いてくださいローア様。とにかく無事に帰れて良かったですよ。下手すりゃあの時全滅していたかもしれませんから」

「これが無事なのヒロ!? 恥かいたわよ!」

「ま、まぁ恐らく歴史に残る大失態をしましたが……。待ってこれ私達も名前載る?」

「どうすんのよこれ!」


二人の顔はどんどん青ざめていく。

勇者の記録は全て王国にて管理される。

どう言う方法で記録をしているか分からないが、俺たちの活躍の記録も既に残っているだろう。

勿論、今日あったことも。

つまり俺が魔王に告ったことは未来永劫国の記録に残り続ける。


「良いじゃん名前が未来の子供たちにも知られるんだよ。めっちゃ名誉な事じゃん!」

「頭を殴れば正気に戻るかしら?」

「やってみる価値はあります」

「待って魔法使う杖の尖った部分で殴ろうとしないで! そこほぼ刃物」

「うるさい浮気者がぁぁぁ!?」

「ぐひゃ!?」


ローアの打撃技が俺の脳天に直撃し、俺の頭は地面に叩きつけられる。


「あ、あの? 気持ちは分かりますがあなた達付き合ってましたっけ?」

「全部終わったら告白するつもりだったのよ!」

「まぁそれは察しましたが。まさかこんな形で告白できないフラグが回収されるとは……」


ヒロがなんか頭を抱えているが俺はそれどころじゃない。

魔法を喰らうよりは全然マシだが、杖の尖ってる所で殴ってきやがった。

めっちゃ痛い。

もう話の内容どころじゃない!

誰か回復魔法をしてくれ頼むから!


そう考えてた時、ヒロが痛みを和らげる魔法をかけてくれた。

そして地面に転がっていた俺に説いてくる。


「しかしこのままでは魔王と戦うことはできません。ユウキ様、正気になってください。相手は魔王です。我々人類の敵であり、多くの仲間、そしてその家族を奪ってきた親玉なのです。奴の死を望んでいる者が多くいることを理解してください」

「分かってはいる」

「でしたら――」

「だけどめっちゃ好き!」

「駄目だもう一度殴りましょう!」

「よし任せなさい」


ローアの打撃技がもう一度俺の脳天目掛けて振り下ろされる。

だが二度目は流石に喰らわない。

俺は瞬間的に立ち上がり、後ろに飛び避けることで杖は地面に叩きつけられた。

そんな時だった。

俺の頭の中にある疑問が浮かび上がった。


「待てよ? なぁ、言ってしまえば戦争を終わらせればいいんだよな?」

「え? えぇ、まぁそうですが?」

「と言うことはつまり、終わらせることができれば魔王を倒す必要は無いんだな?」

「まぁそうなりますが、魔王を倒さず戦争を終わらせる方法など……」

「いやあるぞ! 一つだけ方法が!」




昨日、勇者たち一行が魔王城までやってきた。

正直なところ楽しみであった。

魔王とは勇者と戦う宿命だからだ。

その勇者がようやく私の元へ来たのだからどんな奴かと思っていたのだが――。

まさか私に向かって告白をするという馬鹿野郎だとは思わなかった。

あれは本当に勇者なのだろうか?

勇者のコスプレをした別の何かじゃないのだろうか?

仮に勇者だとして誰だよあの馬鹿を勇者にした奴は、ちゃんと選べよ。

まぁそんな愚痴も考えるのは魔王らしくないか。

私は魔王ヴェラ。

魔王とは堂々と立ち振舞、向かってくる敵を排除するものだ。

昨日のは流石に動揺したが、次は大丈夫だろう。

と、思っていた。思っていたんだ。

まさか昨日の今日でもう一度来るとは思わなかった。

いや来るだけならいい。来るだけなら。

ただ――。


「なぁ? 私昨日冷静になったら来いって言ったよな?」

「おう!」

「一応昨日はその、勇者らしい格好はしてたよな?」

「ん? あぁそうだな。昨日は勇者の鎧と兜、あと剣もあったな」

「そうか……じゃあなんだその装備は!?」

「冷静になった結果、今日はこの場に相応しい格好で来たぞ!」

「魔王と戦うのにタキシードで来る奴があるか!?」


勇者の格好がタキシード姿に変わっている。

しかも勇者の剣はなく、代わりに花束が装備されている。

一体何だというのだ。

そのタキシードと花束で私と戦おうというのか?!

攻撃力も防御力も共にゼロだろそれ!?


「おい勇者の連れ共。お前らどうにかできなかったのか!?」

「「面目ありません」」


魔法使いと神官が頭を下げる。

おい魔王の私に頭を下げるなお前ら勇者の仲間だろ!


「いやいやこれでもちゃんとしているのだよ魔王よ」

「どういうことだ? まさか油断を誘っているつもりなのか?」

「そんな馬鹿なことはしない」

「いや充分馬鹿だろお前……」


少なくとも魔王と戦うのにタキシード姿でくる奴に正気な奴はいない。

恐らく武器を持たずに魔王の前に現れたのはこいつが初めてだ。

だが私の考えを無視して勇者は話を続ける。


「そもそも魔族との戦争を終わらせるのに魔王を倒す必要はない!」

「何を言っているんだこいつ?」

「だってそうだろ? 数千年も続く戦争はたった一人の魔王がいたわけじゃない。勇者に倒された魔王だっていたはずだ。だが倒された数十年後には新しい魔王が誕生し、また戦争が始まる。これは勇者側も同じで、例え俺が倒されてもまた新しい勇者が現れるだけ。これではどっちが勝っても同じ事」


これに関しては勇者の言うとおりだ。

七十年前の魔王は私の父であった。

そしてお父様が魔王として君臨している間、目の前に現れた勇者はざっと百人。更に途中でやられた勇者も合わせるともっといただろう。

つまりこいつを今殺してもこの戦争は終わらないし、私が倒されても終わらない。

戦争を終わらせることで考えれば、私たちが戦っても何の意味もない。


「じゃあこの戦争はどちらかが全滅するまで終わらないのか? いや、もう一つ終わらせる方法がある!」

「ほう、その方法とは?」


私は首を傾げる。

本当にそんな方法があるなら興味がある。

もし話が本当ならこれ以上犠牲者を出さずに済むかもしれないと思えるからだ。

だが、そんな私の期待とは別に勇者は自分の胸に左手を添え、キラキラした目で言い出した。


「俺と魔王が結婚すればいい!」

「病院行け」


一体何なんだこいつ。

本当に勇者なのか怪しくなってきたぞ。

さっきから勇者の後ろにいる奴らが頭を抱えている。

魔王なのにあいつらに同情しちゃったわ!

もうこいつクビにして新しい勇者を探してこいよ。


「だが悪い提案ではないだろ? 世の中そういう理由で結婚させられる奴だっているんだ。戦争を止めるために魔王と勇者が結婚する。別に変な話じゃないだろ」

「何言ってんだこの勇者。そもそも今まで殺し合ってた陣営同士の長が、急に恋仲になれなんて無理な話だろ。今まで犠牲になった者達への想いはどうなるんだ?」


先代の魔王。お父様はある勇者に殺された。

人間どもを許せるわけがない。

それは他の魔物も同じことだ。

今、少なからず私に付いてきてくれる魔物はそう言う者ばかりだ。

家族や友人を人間に殺された者ばかりだ。

当然そやつらも私と同じ気持ちなはずだ。

そしてそれは、人間側も同じはずだ。

戦争を止めるためとは言え、そういう者たちの想いを無視するのはあまりにも愚策と言えるだろ。


「そうなるとこの戦争は一生終わらない。だってお互いがそう思っているからな。どちらかが全滅するまで続くだろう。だったらこれ以上犠牲者を出さない方法を選んだ方が賢い選択だとは思わないか? それに解決できる方法があるのにそれをしないのは、それこそ今までの犠牲者に対して、そしてこれからの命に対しての冒涜ではないのか?」


勇者の言葉は理にかなっている。

これ以上犠牲者を出さないためならその方法を取るのは悪い話ではない。

だが、この方法には一つ問題がある。


「確かに一理、一理はある。だが我がそれを承諾をするメリットは?」

「俺と結婚できる」

「本気でくたばれ」


そう。こいつはただ私に惚れただけ。

それっぽいこと言っているが、要は私と結婚できる理由を作っただけだ。

戦争とか犠牲者とか何にも考えてないし、そもそもこのことを人間側の王が容認しているのかも怪しい。

ハッキリ言ってこいつと結婚する意味がない。

こいつの話を鵜呑みにし、仮に結婚したとしても後ろから兵士に攻撃されるのが目に見えている。

魔王としてこんな戯言に乗るわけがない。

だが勇者はキラキラした目をしながらこちらに近づいてくる。


「まぁあんたが何と言おうと俺はあんたに惚れている。だから戦いたくない。と言うことで魔王よ。俺はあんたを全力で惚れさせる。そして俺はあんたと結婚して、この戦争を終わらせる。だから覚悟しろよ魔王。絶対に惚れさせてやるからな」


勇者はそう宣言する。

勇者の後ろにいた神官は頭を抱え青ざめており、その隣にいる魔法使いはショックを受けて倒れている。

恐らく、と言うか歴史上魔王に対して求婚したアホは一人もいない。

そしてこんなアホな勇者。さっさと殺して次の勇者を待つのが正しい判断だと思う。


だが、私はそんな気になれなかった。

お父様は敗れたとは言え、勇者と必死に戦い立派に死んだ。

だから私も立派に勇者と戦うと決めていたのだ。

なのにこいつは戦う気が一切ない。

そんな奴を殺すことは果たして立派なことだろうか?

違う。

私が望んでいた勇者との戦いはこれではない。

だから――。


「私はお前に一切興味などない。だがその言葉がもし本気であるなら――」


こいつが私を諦めるまで。

こいつが私を殺すことを決意するまで、私は待つことにしよう。

大丈夫。

百年もしない内にこいつの寿命は尽き、そして次の勇者が産まれ、育つ。

それまでは魔物達の休息としよう。

こいつは仮にも勇者。

今まで倒された魔物達の悲しみや戦力の回復を待つのには充分だろう。


「やってみろよアホ勇者」


そんなことを私が考えているとは露知らず、勇者はとびっきりの笑顔を見せるのであった。

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