天智の祈り

白灯桃太(はくとうももた)

第1話

 人間は弱い生き物だ、簡単に死んでしまう。

 病、怪我、それで死ぬのは当然だが、人間は悪魔によって殺される生き物だ。


―――――――


 蝿が集り、糞尿を撒き散らし、血反吐を吐いている、そんな屍が目の前に一家4人、結合し捻じれた状態つまりは変死した状態で見つかった。


 そこに居合わせた少年、白髪の長髪に赤い瞳、血色の悪い肌。

 服装に乱れはないものの糞尿をしたまま、放心状態で見つかった。


 その少年は後にガブリエルと言われ、全ての天使の王と称された。

 ガブリエルを拘束しその血肉を組み込まれた者達を聖職者エクソシストと呼んだ。


――――――――


「今日も君の細胞を組み込んだ子達が数百人死んだよ。段々君の力が衰えていってるね、代わりの天使でも現れないかな?」


 ガブリエル彼の肉体は百年の間に限界を迎えていた。

 幾つもの手術痕に筋肉のない骨だけの身体、機械を身体に無数取り付け生命を繋いでいるに過ぎなかった。

 今存在しているのは脳と鼓膜に通じる部分のみが彼自身でしか無い。


「大元帥が今日脳死でお亡くなりに成ったばかりだ、だから君の脳を移植することになった、これで君に話しかけることは最後になるか、それとも結合し新たな天使になるか、楽しみだ。では失礼するよ。ガブリエル」


 ガブリエルは世代交代を重ねてきた声の主に恨みはない、捕らえたものに対する恨みもない。

 強いて言うなら、現世の悪魔達に恨みがある。

 何故未だに人間と共存できていないのだろうかっと。


 彼の前世での肉体の記憶はここで途絶えていた。


―――――――――


「あががあぁぁあああ!!」


 ガブリエルは生きたまま脳みそをくり抜かれる感覚に叫び声を上げる。


「先生、鎮静剤をお願いします!」


「先生、鎮静剤が効きません」


(しぇーしぇ、ちせいざいぐぁーききません?)


 涙と鼻水、涎を垂らしながら、周りを見る。

 白い天井とカーテン、白い服の女性2名に男性1名。


(再生させる技術でも身につけたか、それとも死んだか)


「安倍真さん、今何処にいるかわかるかな」


「私は転化した、ガブリエルといいます。残念ながら安倍真君は死んだと思って下さい」


 白い服の女性も男性も不信感を抱いたような表情を浮かべてから部屋を出ていった、同時に教会の服装を来た2人組の青年が入ってきた。


「日本支部代表近藤要です」


 眼鏡を掛けた茶髪で癖毛の青年だ。


「日本支部代表のアーサー・ミネス・桜井だ。よろしく!」


 金髪の長髪で青い瞳の外国人でハーフにとてもじゃないが見えない、生粋の外国人だろう。


「安倍真です」


青年二人は同時に手を自身の前で振った。


「ないです」


「無理無理、さっきの説明聞いてたから、ガブリエル様? それに突然アルビノになる日本人なんていませんから」


「また、聖職者を創る為に私を刻むんですか?」


「外国と違って、日本は安全です。外国から届いた細胞を培養して使っていますが、外国程劣化が激しいわけでもないです、なのでガブリエル様の身柄を日本支部で保護しようと思いここに来ました」


「信じなくてもついていく以外に方法はなさそうですね」


「では、こちらに着替えて下さい」


 ガブリエルは聖職者の制服に着替えた、そして、その制服は国で通用し顔パス扱いになるようで、衣食住に困らない様になっていた。


 ガブリエルはパチパチ君に驚きと感動を覚えながら、アイスに振りかけ、オリジナルアイスを楽しみながら、新幹線の特等席に座っている。


「ガーブリエルサマァ」


「ん?」


「いつまでもアイス食べてるとお腹下しますよ。それで2個目です」


「アイスよりも肉食べよう、痩せてるし」


 アイス2個、それは箱で2個目ということだ。

 ガブリエルはスーパーに立ち寄った時に一通りコピーした結果、すぐに物体として存在させることができるように成っていた。

 厳密に言えば、スーパー丸ごと同じ配置で設置することができる。


 反則的な力だが、理解して使ったのは今回が初めてだったのだった。

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天智の祈り 白灯桃太(はくとうももた) @ebimayogundan

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