六月十九日(木)五日目
◆朝送ったメール
---
日時:2025/6/19 5:00
差出人:uosakiichiko*gmail.com
宛先:ak_tk######@gmail.com <ak_tk######@gmail.com>
件名:五日目
うん
---
住職からも夫からも未だ返信がなく、自分でなんとかしようと思うが頭がぼんやりとして何も考えられない。アキオからのメールだけは開くのを忘れないようにしなければ、としか考えられなくなっていた。
*
夜、アキオからのメールが届いたのは午前〇時を回りそうな頃だった。メール着信を告げる音にメールソフトを確認すると『Re:五日目』が届いていた。太字が一瞬、揺らいだような気がした。でもこの頃には不思議と、こういった変化を怪しいと思わなくなっていたのだ。
メールをクリックして開くのとほぼ同時に、ノートパソコンの隣に置いていたスマホが鳴り響いた。驚いて画面を見ると『住職』で、急に頭の中がクリアになった気がした。スマホを引っ掴んですぐに応えると、住職が
「パソコンを閉じなさい!」
と叫ぶように言った。
私は慌ててノートパソコンを閉じ、なぜか押さえ込むように体重を掛けた。たぶん、本能的な行動だったと思う。そのあとすぐに、明らかに何かが開こうと内側から突き上げるように叩き始めた。
叩くたびにミシミシとパソコンが軋み、伸し掛かった上半身に振動が伝わる。
住職に言われてスマホをスピーカーにすると、部屋中に住職の読経が響き始めた。いつもならありがたく思うところが、このときは一瞬苛立って「うるせえな」と思ってしまった。でもそのおかげで、自分がおかしいことに気づけた。
そこからは、早かった。体が楽になるほどに内からパソコンを突き上げる力も弱まり、きちんと頭が回るようになる頃には、すっかり力は消えていた。
「今回は、間一髪でしたよ」
ほっとしたように言う住職の許可を得て、ノートパソコンを開く。
すぐ目に飛び込んできたアキオの返信は、画面一面『呪』の文字で埋め尽くされていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます