夏空に映える君

@haruhiroka

プロローグ

真夏の記憶


 指先から離れた白球が空気を切り裂きながら、ただまっすぐと突き進む。白い糸を引くかのように、まっすぐと突き進むその白球に、俺は心を奪われた――――。


 頭上に燦然と輝く太陽が恨めしい。

熱を浴びたアスファルトに目を向けると、陽炎が起こり景色を歪ませている。あげくに、周囲ではセミたちの喧騒が鳴り響いていた。

 この季節になると、あの夏の日々を思い出す。

 どうしようもなく切なく、悲しく。

 ――そして、どうしようもなく楽しかったあの夏を。

 今も俺は、忘れることができず、あの夏に『囚われている』。


「今日こそ勝負よ!」

 

 そんなことを考えていると、あの夏と変わらない声が耳に響く。

 肩までかからない、女の子にしては短いその髪を靡かせながら、整った顔立ちに似つかわしくない金属製のバットをこちらに向けて、声をかけてきたそいつは鋭い目つきを向けてくる。

 その姿を見て、気だるげな表情を見せつつも、どこか高揚してしまう自分がいる。

 それと同時に実感する。

 ――やっぱり自分は、あの夏に囚われたままなのだと。

 

 小学生の頃の自分に思いを馳せる――。

 ここから、少し小学生の頃の俺の回顧に付き合ってほしい。そうすることが、先に進むことにきっとつながるから。

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