第3話

 そして俺はエミリアと共に、寝室へ来ていた。


「旦那様……その、私は、初めてで……」


「分かっている。怖がることはない。皆、通る道だ」


人間に飽きた俺は、次にエルフを選んだ。

そしてドワーフ。

そしてまた人間。

中には手のひらに収まるサイズの『妖精族』なんかもいたか?

セイレーンは刺激的だったなぁ~

手と足が鳥のようになっているのだ。

だが中には手が取りの羽で、足が魚のようになっている者もいた。

あれはあれで良かったが、置いておくと屋敷の掃除が大変なので今は別の棟に置いている。

アラクネも良かったな~

クモと人が合体したような生物だったが、見た目以上に温厚な種族だった。

彼女たちもまた、別の棟にいる。


「旦那様、できました」


すると目の前に、すべての服を脱いだエミリアの姿があった。


最後は牛人族か……

そしてエミリアの巨大な胸に、ゆっくりと絡み付き、埋もれていく。

経験のないエミリアは男に触られることになれていないのか、頬を赤らめ、息が荒い。


「大丈夫……優しくするから」


そして俺はゆっくりと体を動かした。

豊満な胸が邪魔をしてエミリアの顔が見えない。


最初くるしそうだったエミリアの表情も、徐々に慣れてきたのか?

その表情には笑みが浮かんでいた。

そうだ……最初は皆、こうだった。

だけど日が経つにつれて、みんな変わっていった。


村の連中もそうだった。

最初は獲物を狩れない俺に同情的だった。

だが次第にその目には、人を人とも思っていないような感覚を覚えた。

今でもよく覚えている。


エミリアの胸をかきわけ顔に近づき、そっとキスをする。

まだ慣れていないエミリアは恥ずかしそうに、微笑んだ。


だから俺は常に環境を変えてきた。

慣れないように。

慣れると何も感じなくなってしまう。


「エミリア?」


「はい…旦那様」


「しばらくはお前としかしない。今日から当分の間はここを好きに使え、何を持ち込んでもいい。好きなようにしろ。俺もここにいるから」


しばらくはエミリアにしよう。

それにもう、これ以上の女性は手に入らないだろう。


それから俺は次の日も、その次の日も、エミリアと寝た。

そして他の女を定期的に交換し、徐々に本棟から数を減らしていった。

ここに来る殆どの者は、住みやすいのか? 最終的にここに残りたがるのだ。

まあ俺はセックスすら強要していないし、やりたくないという者は直ぐに送り返す。

中々には嫌々やっていた者もいたが、そういう者はその前に送り返す。

そういうものたちは、だいたいここへ来た初日に、ここを去っていくことになる。

だからこそここには、この場所にいることを望んだ者しかいないのだ。




 また今日もエミリアと一緒だ。

だが流石に慣れてきたのか、エミリアは恥ずかしがらなくなった。

そうなると次だ。


俺はまた新たに異種の女を要求する。

するとまた経験のない女が送られてくるのだ。




そんなことをしながら、5年に月日が流れた。


「旦那様! どちらへ行かれるのですか?!」


俺は少し、この国を離れることにした。

前は滅ぼしてから、出て行ったが、もうそんなことはしない。


「また直ぐに戻ってくるよ。とりあえず、この屋敷を拠点にするから皆の世話は王様に頼んでおいた。生活は今まで通り続けられるから心配しないでくれ」


もはやここには、俺の好みの女性以外いない。

だが、また『線』が切れたのだ。

厳密にいえば切れかかっている。

だから切れる前に、この屋敷を一先ず去ることにした。

そして新天地へと向かう。




 俺はその後、また同じように、破王や死の王といった、国や世界を脅かす者たちを討伐していった。

今度は、もちろん友好的なものは生かし、俺の配下に加えた。

というのも、あの国を俺のハーレム帝国にしようと考えたのだ。

だが俺に同意した女はすべて生かし、旅に同行させた。

もちろん気に入った女だけだ。

それ以外は『論破』した。


破王に不死王。

第二の魔王というのもいたな。

すべて女だった。

そしてそれらの王に関わらず、俺はいくつかの国を滅ぼし歩きながら、俺に同意した気に入った女を配下に加えて言った。

いつしか俺の後ろには女の行列が出来、参勤交代のようになっていた。

あまりに集めすぎた結果、管理するのも大変だった。

列がどこまでも続いているのだ。

やはりこれだけ女が集まると、それを狙った盗賊や野盗も現れるのだ。

だからある程度、能力のある強い女も列に加え、警備も強化していった。




 そして2年が経ち、俺は気づくと地図にあるほぼすべての国を滅ぼしていた。

女の行列は果てまで続いている。

滅ぼしてしまったので、もう野党や盗賊は寄ってこない。

中には女盗賊というのもいたっけ?

そいつも配下にした。

ボーイッシュで綺麗な顔をしていたからだ。


「よし! 国へ帰るぞ!」


そして俺は2年ぶりの帰還をする。









「おかえりなさいませ! ご主人様!」


エミリアに加え、一同が俺を出迎えてくれた。


俺は直ぐに王様に命令した。


「ハーレム王国ですか?」


「そうです。この国を俺のテーマパークにする!」


「……分かりました。ですが、どうかこの国を滅ぼさないと誓ってください」


「ああ、誓おう。その代り、ハーレムだ! ハーレムを建設してくれ!」


他国を滅ぼしたという俺の情報は王の耳にも入っていたらしい。

だから王は断れなかった。

だが元々、この国は壊さずに置いておくつもりだった。

それに加えて、俺はこの国と同盟関係にある国については手を付けていない。

人手が減ってはハーレムが作れないからだ。

また滅ぼした国についても、好みの女を抜き取り、王族を抹殺した以外は何もやっていない。

だから数年後にでも、それぞれの国は復興するだろう。

その時はまた、調査隊を送ろう。


「では、頼んだぞ!」


俺は王座の間を後にした。






 それから2年が過ぎた。


俺はハーレム王国の国王となり、プリシラを妻に迎え、優雅なハーレムライフを送っていた。

女が増えたことで敷地を拡げ、そして屋敷をさらに増築していった。

だがそこで問題が起きたのだ。


――それは老化だ。


牛人種やエルフ、ドワーフなどの種族は、寿命が長いため心配ない。

だが人間は別だ。

人間は直ぐに老いるのだ。


俺は前王に、『不老長寿の秘薬』を手に入れるよう、指示を出した。

そして数ヶ月後、とある森の奥地で大魔導師を発見し、見事『不老長寿の秘薬』を手に入れた。

今ではもう老化にも困っていない。

秘薬を作るための工場すらあるのだ。

俺はすべての『嫁』たちに秘薬を飲ませた。


そして俺は、もう決して滅びることのない、永遠のハーレム王国を気付いたのだ。

オスカルとラダン。

それから村の連中も天国で、羨ましがっているだろうな~


「さあ! 動いてくれ!」


そして俺は今日も、右手に乳、左手に乳。

そしてプリシラの乳に顔を埋めながら、股の間に女を一人、携える。


「ご主人様? 加減はどうでしょうか?」


「ハッハッハッハッ! 苦しゅうない! 苦しゅうない!」


だが俺はその時、急に気づいたのだ。


――いつまでこれを続けるのかと。


欲しいものはすべて手に入れた。

もう欲しいモノはない。

ではこの先、俺は何を求めて生きればいいのか?

だが答えはでない。

当たり前だ、求めるものがないのだから答えなど出るはずがない。


「気持ちいよ~」


だが満足感がない。

なんだこれは?

また『線』が切れたか?


だが俺は『線』など初めからなかったことにも気づいてしまった。

単に飽きただけなのだ。

そんなもの最初からない。

生きる目的を作っていたに過ぎない。

そして俺の思考か急降下するような、様々な考えを巡った。

そして答えが出た。


「そうか……俺は知らない内に、自分を『論破』していたのか」


もう答えはとっくの昔に出ていた。

それを、論点をずらすように、俺は見ないようにしていただけだったのだ。


「皆! 離れてくれ!」


俺は右手を上げ、一度、女たちを遠ざけた。


「どうされましたか? ご主人様?」


皆、不安そうな目で俺を見ている。


「今日からここは、俺の国じゃない。皆の国だ」


すると皆は疑問符を浮かべていた。

それもそうだ。

俺は日ごろから、皆にはそう言ってきた。

自由に生きろと……。


「俺は……少し、また旅にでることにした」


「旅?……ですか?」


するとエミリアが俺に尋ねる。


「ああ、エミリア……それから皆、世話になったな?」


エミリアにも誰にも、俺の言っている言葉の意味は分からない。

そして俺は胸に手を当てた。


「ロン太……」


そして自分に向かって、あの言葉を言ったのだ。


「――死んでください」


――“『論破スキルを発動しました』”


「ガハッ!――」


俺は口から血を吐き、そして、ハーレムに見送られ……



――死んだ。











 「おいロン太や? もう朝だぞ? 起きんか?」


村長の声で目が覚めた。

汗ばんだ体にビチョビチョの下半身。

俺は重い体を起こし、外にでた。


「お! ロン太、起きたのかいな? じゃあ畑にいくぞ?」


「おはよう、村長」


俺はくわを片手に、畑へ向かう。


「おはよう、ロン太」


「ロン太! ちーす!」


「おお!」


俺はオスカルとラダンに大きく手を振った。


そして畑に着いた俺は、村長と一緒に田畑を耕す。


ところで何だろうか? この虚無感は?

さっきまで手の中にあったはずのものがない……

――そんな感覚だ。


「ロン太や? 気にせんでもええんじゃよ? 人には向き不向きがある、狩りは危険じゃ、故にベテランの大人でさえも命を落とすことはある。それにじゃ、ここには畑がある。仕事ならいくらでもあるんじゃ」


「うん……」


俺は返事をすることしかできない。

オスカルやラダンは狩りに出かけた。

なのに、ヒョロガリの俺は17歳になっても、これしかできない。

村長にも甘えっぱなしだ。

いつかは見限られてしまうのだろうか?

最近、そんな不安が襲ってくる。


――死んでください。


あれは夢だったのか……

結局そうだよな。

俺はただのヒョロガリで、何の才能もないんだ。


――旦那様?


頭の中に、声が残っている。

エミリアの声だ。

へ……エミリアって誰だよ?

妄想が過ぎるな……


「ロン太や?」


「ん?」


「この後、市場へ行くんじゃが、ついて来るか?」


「ああ……なら俺も行くよ」


野菜を売って金にする。

そして砂糖や塩に変える。

狩りができないのだから、それくらい付き合わなくてはいけない。

だがいつまでそんなことをしているのか?


オスカルとラダンに、最近、彼女が出来たらしい。

まあ、当たり前か……あれだけ逞しければ、女も寄ってくるだろう。

だが俺には誰も……話しかけてすらこない。

これが現実だ。


――旦那様?


こんなことなら起きなければ良かったな~

ずっと寝ていれば良かった。

ずっと夢の中で、皆と一緒にいれば良かった。

そのまま死んでいけば良かったんだ。


――旦那様?


声が聞こえる。

彼女の声が……


「村長?……」


「ん? なんじゃ? やっぱりやめるか?」


「いや……そうじゃないんだ」


すると村長は疑問符を浮かべる。


「大したことじゃないんだけど……」


村長は首を傾げ、俺の言葉を待った。


「――死んでください」




「ガハッ!」




その瞬間、村長の口から鮮血が舞った。





――――。





「え?――」





――“『論破スキルを発動しました!』”



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論破スキル『死んでください』を手に入れた俺は、村人を抹殺する! 酒とゾンビ/蒸留ロメロ @saketozombie210

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