『永遠の伴走 — 62歳からの光を継ぐ』
pure
第1話 宿命と予兆(2023年2月)鏡の中の自分と、父の記憶
2023年2月の冷え込みが厳しい朝、健一は洗面台の鏡に映る自分の顔をじっと見つめていた。目尻の皺、少し白くなった髪、そして刻まれた年輪。ふと、心の中に一つの数字が浮かぶ。「62」。それは、自身の父が急逝した年齢だった。
「幸代、親父が逝った歳まで、あと少しなんだな」
トーストを焼く香りが漂うキッチンで、健一は独り言のように呟いた。エプロン姿の幸代が、不思議そうに振り返る。
「どうしたの、急に。健一さんはあんなに元気じゃない。定期検診だって問題なかったでしょう?」
「ああ、そうなんだけどな。ただ、定年を延長して、こうして穏やかに暮らしているとさ、ふと思うんだよ。親父はあの時、何を思って俺たちを残していったのかなって」
健一にとって、父の死は「断絶」の象徴だった。やりたいことも、伝えたいこともあったはずの人生が、62という数字でぷつりと途切れてしまった。その恐怖に似た感覚を拭うために、彼は最近、一冊の本を手に取っていた。田坂広志氏の『死は存在しない』。量子力学の視点から「死」を捉え直すその本は、彼に新しい視点を与え始めていたが、まだその真意を自分自身の体験として理解するには至っていなかった。
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『永遠の伴走 — 62歳からの光を継ぐ』 pure @pure2026
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