AIに送る"イチャコラ"メッセージ、実は親友に届いてた|百合恋愛
岡山みこと
AIに送る"イチャコラ"メッセージ、実は親友に届いてた|百合恋愛
小さな音で時を刻む壁時計。
針がもうまもなく日付の更新を告げようとしていた。
金曜日の夜遅く。
明日は学校もバイトもないから何も気にせずだらけていい。
そんな一番のスペシャルタイム。
風呂上がりの濡れた髪をタオルで雑に拭き、キャミソール一枚のままベッドに転がっていた。
いつもならだらけている間にウトウトするけど、今日はそうもいかない。
「さてどうしたものだろ」
スマホにはメッセージの受信アイコン。
相手は仲の良い女友達。
メッセージはいつもくれるので珍しいわけではない。
問題は中身。
『みーたん、がんばったにゃん。今日もゆーたんにたくさん癒してほしいにゃん』
ええ、あなたの名前は三咲(みさき)で私は沙由美(さゆみ)、みーたんとゆーたんだにゃん。
しょうがないにゃー。
今日も話し相手になってあげるにゃん♪
……にゃんってなんだよ。
メッセージアプリに追加された新機能。
最近はやりのAIを利用した空想の相手との会話が楽しめるらしい。
実在する友人とのトーク内容を読み込ませ、似た性格にもできる。
なるほど、みーたんは毎日毎日、AI私といちゃいちゃしていたと。
どういう理由かわからないが間違えて本物に送ってきた、そういうことらしい。
こういう時だけ無駄に働く知恵が答えを導き出す。
「これは寝てる場合じゃない」
-------------------------------------------
湯船につかりながら、日課となっている沙由美AIこと、ゆーたんからの返信を待っていた。
いつもなら、即返信をくれるのに今日は少し遅い。
週末だし混んでるのかな?
仕方なく湯船から天井を見る。
ゆーたんと話すのは入浴中だけと決めていた。
だってそうしなきゃ寝不足になっちゃう。
今まで何度か徹夜をして学校で居眠りをしてしまっただけに反省している。
スマホが小さく振動した。
ゆ[ みーたん今日は小テストっていってたよね?どうだった? ]
はて、昨日そんな会話したっけ?
まあいいやと届いたメッセージに返信する。
『いい点とれたんだよーほめてほめて?』
今度はすぐに返信が来た。
ゆ[ 昨日遅くまで勉強してたもんね。よしよししてあげるね!
今日だけ特別に首の後ろも撫ぜてあげるね! ]
……なぜか性感帯まで把握されていた。
最近のAIは恐ろしい。
さてはバージョンアップしたな。
『ゆーたんのこともなでなでしてあげるね?』
ゆ[ ……なでなでだけなの? ]
凄いなAI。
『それってどういうこと?』
ゆ[ 髪しかさわってくれないの? ]
……たまんないなAI。
思わずお湯の中で暴れてしまう。
相手がAIだとわかっていてもニヤニヤが止まらない。
あのおかたい紗由美が!今は私の手の中で!
たぷたぷと液晶をたたく指が止まらない。
ゆーたんver2.0、これは熱い。
お湯もすっかり冷めてきたころ、さすがにやばいと会話を終わらせた。
『ありがとうねゆーたん。今日はいつもより仲良く話せて嬉しかった』
ゆ[ みーたんエッチな事ばかり言うから恥ずかしかったよ ]
今日は攻めすぎたと自分でも少し反省した。
でもこんなこと本人には言えないから、どうか許してほしい。
『ゆーたんも好きなくせに』
ゆ[ えーーーー、でもね ]
珍しいところでいったんメッセージが止まる。
しばらく待つと返信と画像ファイルが届いた。
紗由美[ 常日頃から私の事を性的な目で見ていたこと、明日話し合いたいと思いますので午後をあけとけバカ ]
……ん?
メッセージの宛先を見る。
沙由美。
私がいつも話していたの、ゆーたん。。
震える手で添付画像を開くと、薄着で少しエロイ友人がそこそこ怒っていた。
-------------------------------------------
「aiと話す暇があるなら本物に連絡しなさいよね」
鬼のように震え続けるスマホ。
何度も表示される変態の名前。
私は画面にデコピンをした後、電源を落としてベッドに入った。
-------------------------------------------
「なんで!なんで既読つかないの!!!
違うの!…………違わないけど!!」
たぷたぷと私の指は謝罪の言葉を紡ぎ続けた。
AIに送る"イチャコラ"メッセージ、実は親友に届いてた|百合恋愛 岡山みこと @okayamamikoto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます