昭和のヒーローは、誰にも知られず引退する

桃野産毛

第1話 序章

 日常は、突然崩壊した。

突如現れた異形の大群。

それらは何もない空間をガラスのように割り、

その穴から飛び出してきた。

 割れ目は世界各地、不規則に現れて、

異形の化け物たちは大暴れした。

 後に第一次次元大戦、と呼ばれる戦争の始まりだ。

地球人類は不意を突かれた。

どの国も一様に、区別なく異形の大群に強襲された。

各国は手ひどい被害を被りつつも、辛勝。

そして、人類はその敵の正体に驚愕した。


 異世界人。


 最悪のファーストコンタクトだった。

パラレルワールド理論が誰も思わぬ形で実証された。

 彼らの個々の姿や、

生態は地球のものと全く異なるものだった。

調べを進めると、

複数の世界の各所に住むモノたちが一斉に地球へ『溢れて』来たようだった。

ただ、こちらへ溢れ出た原因は不明。

さらに、

この『穴』を通って『こちらから向こうへ』渡ることはできなかった。

どうにも、『向こうからこちらへ』の一方通行らしい。


 この時に空いた次元の『穴』は今も塞げず。

そこから、本当の侵略者たちがやってきた。


 第二次次元大戦。

異世界の『軍隊』が、

侵略を目的としてこちらへ攻めてきた。

 第一次とは違い、

彼らは明確な敵意と害意を持って攻めてきた。

彼らは各々の世界で団結し、

人類で言う国のような組織が計画的に地球へ攻めこんだ。

 地球の国々は辛うじて一致団結し、

これも辛勝。

この戦いは前回にも増して世界中に大きな傷跡を残した。


 それでも、『穴』は塞がらなかった。


 異世界人たちはとうとう『穴』を自由に開き、

『往復する』技術を得た。

次元を自由に行き来できる彼らは軍隊による侵攻を止め、

スパイや工作員による破壊工作に戦術を切り替えていった。

 それが、今も続く第三次次元大戦。

各国は世界中に空いた『穴』を特殊な壁で囲み、

無国籍の軍隊で監視を付けた。

 彼らを世間では『次元防衛軍』と呼び、

国をまたいで超法規的に活動をすることになった。

 彼らの中には『特別捜査隊』がおり、

『穴』以外から侵入してきた異世界人たちを探しだす。

そして、彼らを必要に応じて拘束、撃退、討伐する。

日本ではその隊名を省略して『特捜隊』と呼ばれた。


「キャップ。

『穴』以外での次元の歪みを計測しました。

位置はS県の山中です」


 キャップと呼ばれたハゲ頭の男性が、

その細い腕を上げて各所へ指示を出す。


「コード、レッドを発令せよ。

一班は、現場へ急行。

二班は、各所に連絡して交通規制を。

三班はいつでも出撃できるように、

格納庫にて待機。

 現地での指示は、

いつもの通り一班班長のミズノ君に任せます」


 指示を受けた青年が立ち上がり、

号令をかけた。


「了解。

全員、出動!」


 その部屋にいた全員がキャップと呼ばれたハゲ頭の男性に敬礼した。

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