神さまの婿

まにくま

第1話

鈴が来た日から風が変わる。

鈴が来た瞬間に凪が動き出す。


・・・少年。

風にさらわれそうなほど軽い希望は、何を思う・・・?


・・・ふぁ。

冬の日、朝。すこし肌寒い小さな神社の境内を掃除をしてからの登校は、その男子高校生に眠気を運んだ。

「おいおい、眠そうだな栞。朝飯ちゃんと食ってるか?ホレ、値引きパン一個やるよ。」

悪友のクラスメイトが儚げな栞を心配する。

「ありがとう。」

「そもそもオマエ、女みたいに細すぎなんだよ。健全な肉体がナントカっていうだろ?」

悪友はそう言うと、両手だけでバットを振る素振りをはじめた。

「はは、また野球部の勧誘?大変そうだし僕はいいや。返すよ焼きそばパン。」

「そんなんじゃねーよ。いいからソレは食え食え!倒れられたら夢見が悪い。」

そんな会話の途中だった


ガラガラ!

勢いよく担任の先生が引き戸を開け入ってくる。

「先生~、始業のチャイムにちょっと早い~」

女子生徒が不満を漏らす。

「うるせえ。いつも言ってるだろ5分前行動って!先生は時間まで外で待ってるのも寒いんだよ!・・・ほら鳴った。」

次いでチャイムが鳴る。


キーンコーンカーンコーン


「うわー!執行猶予が!授業が始まってしまうー!」

クラスメイトたちの嘆きを聴き、担任はニヤリと笑う。


「今日は転校生を紹介する!喜べ野郎ども!女だ!とびきり可愛い女子だぞ!」

喜ぶ男子生徒たちと、先生サイテーと不満を漏らす女子生徒たち。

「こほん、まーまー先生が悪かった!!」

バンバン!と机を叩き、仕切り直して先生は呼んだ。

「入っていいぞ!」


カラカラカラ・・・、カラカラカラ、ピシャン。

おおー!と男子生徒から歓喜の声が上がり、女子からも綺麗な子・・・と思わず感想が漏れる。

それはまだ肌寒い冬の日に、春をまとったような少女だった。

ポニーテールが揺れ、髪留めにしている小さな鈴がチリンチリンと鳴った。

彼女が歩くと、教室のカーテンがふわっと揺れた。温かい風が、少女をくすぐったような気がした。


カッカッカッ、と黒板に綺麗な字を書き終えた。すると、少女は栞の前に向かっていく。

「えー、それでは自己紹介・・・を・・・?」


「わたしの名前は天羽鈴!と言います!栞くんはじめまして!わたしのお婿さんになってください!」

・・・。

・・・えっ?

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