6 政治宣伝に抗して
「以上のような説明を行った理由は、今なお帝国内に残る中枢種族からの情報操作の悪影響を除いて、偏見なき視点から帝国の現況を再認識いただき、不幸な歴史的経緯から旧帝国の軍事組織に参加された皆様の、武装放棄と社会復帰を奨励するためです」
「旧帝国の逃亡政権は
図26:光輝帝
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843188330562
「アスモデウスもまた、〝欲望王〟と呼ばれました。しかし、彼女はサタンと外周星域を訪れた際、自らの惑星の電磁気・重力学的特性を彼女のものと同一に偽装して、派遣軍からの攻撃の危険を分散しました。この偽装は同地における最後の戦いの際にも、サタンを目標として殺到する敵艦隊を一時混乱させて、アドラメレクによる攻撃の成功に寄与しました。私欲のみで行動する種族に、このような行為は行い得ません。彼女の積極的な外交活動もまた、自己の権益追求のためというより、生来の社交性や他種族への共感能力、そして彼女がサタンと共有する〝全ての種族のための文明発展〟への情熱によることは、今日までの彼女の他種族支援事業での実績からも明白です。彼女なくしては現在の新帝国もなく、〝熱情王〟の別名もまた極めて正当なものといえましょう」
図27:熱情王
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843188487523
「旧帝国の時代から銀河系最高の頭脳と称された科学長官ストラスを〝狂王〟と呼号するに至っては、もはや考案者自身の精神的健康を案ずる他はありません。確かに知性、すなわち環境変化に対応して活動を制御し、多様に変化させうる知的活動能力は、単純な本能と異なり、無限の可能性の代償として、結果的には無益や自滅に至る危険性も有する、一種の狂気とも称し得る属性です。しかしそうした哲学的な見方を除けば、彼女はむしろ技術の軍事利用のみに
図28:賢明王
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843188536123
「犯罪的中枢種族の討滅や内乱・分離勢力の平定に貢献したグラシャラボラス、アミーとヴォラクは、それぞれ〝暗殺公〟〝滅亡伯〟〝焦土伯〟という
図29:純真公、救国伯と救命伯
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843188729790
「私の上官だった〝正義公〟アスタロトには、〝反逆公〟の名が進呈されています。これにつき私の報告を受けた彼女は、しばらく沈黙した後にこう応えました。『先帝を滅ぼし、内乱を招いて帝国に滅亡の危機をもたらした逆臣賊将共から裏切者と呼ばれるのは、帝国の忠臣たるべく努めて来た私にはむしろ名誉の証です』と語り、一笑に付したのでありました」
図30:正義公
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843188856594
「私に冠せられた〝非情侯〟の名もまた、極めて不本意なものです。非情といえば言うまでもなく、先帝の名を
図31:強健侯
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843189339681
「アドラメレクはその巨大惑星への適応と移住によって、〝怪物公〟と呼ばれました。しかしそもそも言うまでもなく、こうした異質性の認識とは相対的、つまりはお互い様のものであります。加えて今日では炭素・酸素系種族かどうかという基盤元素の相違よりも、個体群種族から種族融合体への発展の方が、構成物質の自由度や能力・特性において遙かに大きな変化をもたらし、従来の種族区分を変えてしまったことは、もはや全ての知的種族の科学的常識です。従ってかような命名こそ、他種族への無知と偏見を蘇らせて国内の種族間対立を煽動せんとする、正に怪物的にして忌まわしき政治的悪意の発露であり、断固排斥さるべき
図32:美麗公
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843189660506
「〝地獄王〟バールゼブルと〝辺境王〟ベールの名称については、いささか複雑な事情があることを認めざるを得ません。なぜなら彼女達自身も、これらの二つ名を愛称あるいは尊称の如く、好んで使用する場合があるためです。しかし彼女達が親しくその名を使用する時、私達は非人道的な超新星兵器が可住宙域を破壊してこの世の地獄と化す事実や、旧帝国では銀河系外周星域の文明開発に消極的であった歴史も想起すべきです。またこれら二つの星域では、大戦による超新星爆発の影響や武器の遺留、治安の悪化などの危険が今なお存在し、盗掘者、逃亡犯や興味本位の侵入者が自己または周囲に危害を及ぼす事態を防止すべき必要性があることにも、留意すべきです。しかし、そのような状況が克服された暁には、彼女達は旧皇帝領を戦前以上に復興させた〝再建王〟、永きに渡る星域間の格差と対立を解消した〝偉大王〟と称されることでしょう」
図33:再建王と偉大王
https://kakuyomu.jp/users/tairahajime/news/822139843189765094
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