水王-5

 副隊長のレオがテオドロスの部屋に向かっていると、しょんぼりした顔をしたミレリアがテオドロスの部屋から出てきた。流石に今回の件に関しては、テオドロスに相当怒られたようだ。

 ミレリアと入れ替わる形でテオドロスの部屋に入ったレオは、テオドロスに声を掛けた。

「そうとう絞ったみたいですね」

 テオドロスは手鏡でたてがみの数を確認しながら、ムスっとした顔をして不貞腐れている。レオは続けた。

「しかし、ミレリア様のアレは見事なものでしたね。他の隊員たちも絶賛していました」

 テオドロスは鏡を置きながら、ため息をつき、後頭部で手を組んで言った。

「まあ、確かにな……」

 総隊長ではなく、一戦士としてのテオドロスが、それを認めざる得なかった。レオは言う。

「隊員たちはアレをみて、ミレリア様に新しい二つ名を贈ることを決めたそうですよ」

 そう言うと、その二つ名を口にした。それを聞いたテオドロスは、そのままの体勢で天を仰いで、内心で呟いた。

(まあ、いいか……)



「水王」

 強き戦士たちが認めた、天翔ける美しき人魚へ贈られた二つ名

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