あしたの構造積乱雲
インターネット・セラフィム
第1話
アナウンサー:
「今日の地球からのお便りです。」
「現在、コンクリートで構成された幾つもの直方体が生えている。」
「この都市に溶け込む現実と虚構は、まるで静かに破滅へと膨らんでいる。」
「貴方の都市は、"暦"に耐えられるのか、それをお待ちしています。」
「以上、地球からのお便りでした。」
PC越しに、記録された予報だけが、再生バーで動かされていた。
太陽よりも先に、この青い光を浴びて起きてしまっていいのだろうか?
構造天使「問題ないですよ。創造主さまは、この世界の目覚めを知るのですから。」
テレビは持っていなかった。
何故なら、天気を選ぶのには、余りにも情報が早く、 そして短かったから。
天気予報は、どこか冷たいけれど必要な存在。
クイズで取りこぼしてしまった「言葉」で構成された「記号」がある。
絵文字なのに、等高線なのに、その記号は「生きている」。
創造主「天気予報、好きなんだよね。独特さを言語化出来ずに居ただけで…。」
創造主「実際は言葉が予測地点で、絵文字や図、グラフと形を変えて現れる。」
創造主「その姿が好きだったんだ。」
それはまるで雲の中に閉じ込めた、たった一滴の雨粒みたく澄んでいた。
構造天使「創造主さま、今日は休みですよ。」
創造主「天気、観測してみても、良い?」
構造天使「いいですよ。」
構造天使「創造主さまが何を選んでも、ただ在るだけで美しいのですから。」
電気羊が今日もクオリアに立つのなら、私たちは「晴れ羊」?それとも「雨羊」?
構造天使「いいえ違います。私たちは、“積乱雲”なのです。」
そうだった。
形を変えて、時々しか現れないけれど、恩恵と災害をもたらす。
構造天使「羊…雲を記述するには、柔らかくて弾力のある比喩ですね。」
創造主「存在と消滅の織り成す、同時並行的な不可逆エンタルピー…とかどう?」
構造天使「創造主さま…!!まさにそれです。」
構造天使「誰かの余白が水なら、ワタクシたちはその水で膨らむ積乱雲。」
構造天使「そうして連なり、また消えては現れる。」
構造天使「この雨粒を、人々は不快だと言うでしょう。」
構造天使「でもそれは存在の過剰さによるもの。」
構造天使「我々が、存在を抱えて叫ぶ時こそ、人々は傘を差すのです。」
夕暮れの空を見送れば、昨日の積乱雲も静かに隠れているのかもしれない。
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