転生したら最強美少女になった俺は男に戻るために無双する

月夏優雨

第1話-プロローグ-


 それは雨の激しい昼の出来事だった。

 俺は幼馴染の天野癒々あまのゆゆと渋谷のハチ公前で待ち合わせをしていた。

 待ち合わせ時間まで後五分はある。

 俺は傘を差しながら大雨の中待ち続ける。

 スマホを見ると『もうすぐ着きます』とメッセージがあった。

 俺たちは小学生からずっと仲良しだった。

 天野が隣に引っ越してきたのが小学生一年の時だったのだ。

 明るく人懐っこい犬のような少女だった。

 家族一同で引っ越しの挨拶をしにきてその時自己紹介も済ませたのだ。

 癒々とはすぐに仲良くなった。

 年も同じで他愛のない会話は尽きることはなかった。

 小学生に入学前にこんなに仲良くなる相手が出来たことは僥倖だった。

 それから中学、高校までも同じになった。

 いつもは家から一緒に出かけるのだが、たまには待ち合わせをして気分を出したいということで今回初めて待ち合わせをしたのだった。

 なんだか新鮮な感じする。

 大雨の中人の通りはまばらで多いわけでも少ないわけでもない。

 こんな悪い天気でもこの街は活発なんだと呆れていた。

 晴れの日の人の多さが異常なのが分かる。

 『わかった。待っている』と返信しようとしたら、傘が転がり近くの人が倒れた。

 異変に気づくのが少し遅かったのだろう。

 次に瞬間俺の胸にバタフライナイフが貫通していた。

 俺はその場で崩れるように倒れた。

 この瞬間永遠のような感覚と時が止まった錯覚を味わった。

 最後に見たのは癒々が俺に駆け寄り涙声で名前を何度も叫んでるのが聞こえ意識を失った。



───その頃、天界ではとある世界で最強のステータスを付与する最終段階に入っていた。

 転生の間では神と天使長の二人だけがいた。

 いつもは他の天使もいるのだが今は実験の開始ということで二人きりなのである。

「では、この人物に神の子になってもらいましょう。そして我々の仕事を手伝ってもらいましょう。最強のステータスを付与するんだから文句はないと思いますが…」

「そうじゃの、天使長よ、あくまで子であると言うわけで我々には万が一でも勝てないようにするのだぞ? そこを間違えたら大変なことになってしまうからのう」

「その辺は前世の人格を見れば問題ないかと思われます。では開始します…」

 天使長が対象にステータスを付与する直前にそれは起きた。

「ぶわーくしょーいっ!」

 神様が大きなくしゃみをして体勢を崩し天使長にぶつかる。

「───あ…、神様がぶつかったせいで違う人に付与しちゃいましたよ!」

「バ、バカモン! 早く修正するのじゃ!」

「…それがエラーが出てもう操作不能です…」

「なんじゃその目は! くしゃみは仕方ないじゃろう!」

 責任をなすりつけ合う天使長と神だが時は既に遅し。


───そして、王の娘がこの日誕生したのだった。

 名をアリッサ=シュトワール。

 王国中が姫の誕生を祝いお祭り騒ぎになった。


 俺は死んだのか?

 天井が見える。

 が、あまりよく見えない。

 言葉が出ない。

 手を見ると赤子のように小さい。

 俺は赤ん坊になったのか?

 身なりのいい男が俺を軽々と抱き上げた。

「よく生まれてきてくれた。愛しのアリッサよ。可愛いのう」

 男が俺に顔を近づけて頬擦りをする。

「あなた、私にも抱かせて頂戴」

 今度も身なりのいい若い女が俺を優しく抱いた。

「アリッサ。貴女はきっと美人になるわ。そして私たちの跡を継ぐ賢い子に育てるわ。ねえ、あなた?」

「そうするとしよう。今から国一の賢者と武術に長けた者を選別して教師をしてもらおう」

「ええ。あなたより強く。私より賢く。一国を担う立派な姫に。今から楽しみだわ」

 言ってる事は理解できたが美人?

 聞き間違いか姫だと!?

 俺は女になってしまったのか?

 それはまずい。

 なんとか男になる方法を成長したら探さないといけないな。

 成長したら男と結婚なんて考えるだけで悪寒が走る。

 しかも姫という身分もまずい。

 逃げられないじゃないか。

 この人生は相当ハードな気がしてきて気絶した。


 ───月日は流れ異世界にも魔法にも慣れた頃。

「───参りました!」

 わずか十二年という年齢で俺は国の猛者を全員圧倒してしまった。

 その知らせは国中に轟いた。

 更に容姿も絶世の美女と相まって目立ってしまった。

 

 謁見の間で台座に座る王(父)はとても喜んでいた。

「お前が生まれてから前代未聞の強さだと、誰もが驚いている。女であることもそうだが、その美貌もとても目を惹く。さすがわしの娘だ。とても鼻が高いぞ」

「魔法も誰も到達できなかった場所までいって驚いてるわ。まさか軽々と私も超えてしまうなんてね。さすがアリッサちゃんね」

 二人に褒められて悪い気はしないが、この身体はどうにかできないのだろうか?

 書物を全部読んでも性別を変える魔法、またはその可能性を試行錯誤したが不可能のようだった。

 魔法って性別ぐらい変えられる万能なものじゃないのかよ。

 そう都合のいい流れには行かないらしい。

 ドレスもヒラヒラして動きにくいし、ズボンみたいな格好は許されないのだった。

 スカートかドレスか、結局ヒラヒラじゃないか。

 これは近い将来城を抜け出す他ないだろう。

 二人には悪いが仕方ないだろう。

 世界は広い。

 必ず俺は男に戻る方法を探す!

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