第6話 デビューへの階段
とうとう。
シン・トーキョー星
当日が来た。
「やっとだ。とうとうこの日を迎えた。来ちゃった。必死に頑張った。私はよくやった。私は偉い!
レイラ、破裂しそうな頭をなんとか静める。
オーディション合格してまだ1週間。必死に努力した。ひたすらレッスンだった。とても捜査ところではなかった。ここを真剣に真面目にやらないと、事務所をクビになってしまうのだ。レイラは警察学校以来の頑張りを見せた。
で、どうにかこうにか。
大舞台を踏むことが許された、のかな。
レイラ、まだ自信がない。
しかし、レッスンの先生たちからは、その調子、いい出来よ、がんばってねと言われた。合格なの? とにかく、お前はダメだ、出演は取り消し、クビだとは、言われなかった。いや、いつそう言われるかと、ビクビクしてたんだけど。
ルイーザも、レイラの仕上がりを見に来た。
「うん、いいんじゃない」
と、さらっと言った。
いい、のか?
事務所No.2のルイーザに言われると、少しほっとする。でも、それは、どの程度の〝いい〟なのか? レイラにはわからない。新人モデルとしては、とりあえずOKってことかな? まさかトップモデルとして認められたなんてこと、あるわけないんだけど。なんであれ、ダメではない。よかった。新人モデルとして、認められた。それでいい。潜入捜査第2段階成功、なのかな。
また1つ関門を潜った。
あはは。
私はやったのだ。
下着モデル界への潜入捜査。宇宙警察史上初の挑戦、いや、冒険というべきか、順調な船出……なんだ。このままいくしかない。
絶対やってやるぞ!
◇
いよいよショーの会場へ。
シン・トーキョー星
ドン・ハルキサワ事務所の一行も、エアバスに分乗して、乗り付ける。
「ついに来たぞ」
下着新作ファッションショーの舞台、モデルの控室。広い。ドン・ハルキサワ事務所のモデルだけでなく、他の事務所のモデルも来ている。ものすごく賑やか。そして華やかだ。
出番を待つ。
入念に最後のチェックをするモデルたち。
レイラも、壁一面の鏡を見ながら、今日の
最先端ファッションショーの下着。モデルたち、様々な
業界の鬼才、全宇宙に名高い一流デザイナー、ドン・ハルキサワが意匠を凝らした下着。あらゆるデザインのその先にある
腰から長い裾を床まで引き摺る下着。可愛いケープや豪華なショールで飾った下着。軽やかな
自身トップモデルとして出演するルイーザも、
「今日のみんなのドレス、決まってるよ。私が1番! そう思ってランウェイしてね」
と、控え室ですでにショーの
「なんだか目が回るな」
キラキラで華やかで。
これまで最先端の下着ファッションにあまり関心のなかったレイラには、驚異の世界であった。もちろん下着モデル業界に潜入捜査すると決めてから、全力でファッション誌を読み漁り、情報収集し、俄か仕込みで勉強してきた。
詰め込み、一夜漬けの勉強でわかったこと。
最先端の
それは要するに何でもあり。
なんでも
レイラは、鏡に全身を映しながら自分の
自分用のドン・ハルキサワの新作下着は。
ネクリが教えてくれた通り、シンプルな白のブラジャーに白のショーツ。下着と聞いて、すぐに思いつくタイプだ。他の子と違ってあまり奇抜なポイントは無い。布地面積は、かなり小さめ。モデルたちの中で、自分が1番布地面積が小さく、肌露出度が多いような気がする。ラインがすごくシャープな
いや、シンプルで、全く奇抜な点がないと言うのは、間違いであった。1点、ドン・ハルキサワの今回の新作に共通のあっと驚く意匠があるのだが。それはこれからの大舞台で披露されるのである。
鏡に映る、白いブラジャーとショーツ姿の自分。
「うーん、新人デビューモデルだから、シンプルな作品なのかな。ネクリは、私の身体をアピールするためとかいっていたけど、まさか!」
なんであれ、いよいよ。
ついにその時が来る。
握った手が汗ばむ。
もうずっと覚悟はして、心の準備はしてきたつもりだけど、やっぱり動悸がする。顔も赤くなってるような。いけないな、これじゃ。下着モデルが、
新作下着姿で、ランウェイする。広大なタワービルの会場いっぱいの大観客の注目を浴びて。それが全宇宙に配信中継される。このショーは、いつもすごい接続率になるのだ。
大胆な露出の
落ち着け。落ち着くんだ。
レイラは、自分に言い聞かせる。
大勢のモデルがランウェイする。自分は新人。全く注目されてない1人にすぎない。誰も見てなんかいないさ。そう思うことにしよう。
露出度が多いっていっても、こんなの海やプールで着る水着と同じ!
何でもない。刑事の仕事に比べれば。
レイラの動悸、ますます速くなっていった。
デビューの刻は、もうすぐだ。
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