第6話
石碑に記されていたのは、この世界が「ゲーム」ではなく、かつて高度な文明を持っていた人類が「魂をデジタル化した後の世界」であるという衝撃の事実だった。
「運営」とは、システムを維持する自動管理AIに過ぎない。そして「魔王」とは、システムから溢れたゴミデータを処理するためのデリート・プログラムだったのだ。
「なるほど、道理で魔王軍が『掃除』をしに来るわけだ。俺と本質的には同業者(掃除係)じゃないか」
その時、ダンジョンの奥底から、全てのゴミデータの集合体である『終焉の魔王』が姿を現す。 そのレベルは、ついにレンの「999」を超える「10,000」。 世界の容量(ストレージ)を限界まで食いつぶす、巨大な黒い影。
「……ようやく、掃除のしがいがあるゴミが出てきたな」
レンは初めて、竹箒ではなく「素手」で本気の構えをとる。 彼が本気を出せば、この世界というサーバーそのものが耐えきれずにクラッシュするかもしれない。 だが、レンには確信があった。
「廃課金ゲーマーをなめるな。サーバーが落ちる前に、処理が終わればいいだけの話だ!」
終焉の魔王 vs 1兆倍の掃除係。 ぶつかり合うエネルギーは、世界の法則をリアルタイムで書き換えていく。 海が燃え、空が凍り、時間が逆流する。
魔王の放つ「全消去コマンド」に対し、レンはログインボーナスの多重スタックで得た「無限のバックアップ」で対抗する。 死んでも死んでも、0.0001秒後には蘇生し、さらに強くなって殴りかかる。
「これだよ、このヒリつく感じ! 攻略法がないなら、力技でハメ殺すのみ!」
レンは数億回の連続攻撃を、一瞬の間に叩き込んだ。 ついに魔王のデータが限界を迎え、ノイズとなって霧散していく。
魔王が消滅した瞬間、世界は静寂に包まれた。 システムは再起動(リブート)を始め、レンの手元には「全権管理コード」が残される。
数日後。 街には、再び箒を持って広場を掃くレンの姿があった。
「おい、レン! 聖シュティール帝国の姫様が、お前を国師として迎えたいって来てるぞ!」
バルトが慌てて駆け寄ってくるが、レンは空を見上げて笑うだけだ。
「断っとけ。俺はただの掃除係だ。……それよりバルト、あそこの隅にまだゴミが残ってるぞ。世界を救うより、目の前の広場を綺麗にする方が、俺にとっては重要なんだ」
神の力を持ちながら、誰よりも真面目にゴミを掃く少年。 彼の「無限レベルアップ」の旅は、今日も誰も知らないところで更新され続けている。
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