俺の顔
三丁目の雀
第1話 怪盗
朝7時。
玄関が蹴られる音で目を覚ました。
次の瞬間、熱い鉄の塊が頬をかすめた。
だが遅れて耳に届いた破裂音で、それが銃弾だと気づいた。
「は?」
壁に穴が開いている。
頬に触れると指先が赤く染まった。
「......は????」
声が震えた。夢じゃない。
玄関の方から低い声が聞こえた。
「おい。こいつまだ生きてるぞ」
男の声だった。
次を考える余裕はなかった。俺は非常階段の方へ、裸足で走った。
「なんで俺が....」
階段を駆け下りながら、頭の中でそればっかり考えていた。
心当たりなんてない。俺はただの会社員だ。昨日だって、
会社帰りに、一人で一杯やった...だけ....で.........
思い出した。
昨夜、居酒屋。
やけに静かな男。
俺は昨夜愚痴をこぼした。
「俺のことなんて誰も覚えてねぇよぉ」
男は面白そうに笑った。
「じゃあ貸してみる?」
「ハハっ貸すぅ?何を?」
男は鞄から、紙を一枚出した。
「ここにサインしたら、君は自由になれる」
冗談だと思ったし、契約内容も、ちゃんと読まなかった。
俺はサインした。
裏路地に逃げ込み、息を整える。その時、ポケットの中で、
スマホが鳴った。非通知からの電話だった。
嫌な予感しかしなかったが、俺は電話に出た。
「もしもし」
『おはよーい、無事に起きられたみたいだね』
昨日の男の声だった。
「あんた、何をした」
『何も、契約通りのことをしただけさ』
『おっと、自己紹介がまだだったね』
『私の名前は通称face・fake。怪盗さー!』
『最近、話題になっているだろ?人の顔を犯罪を行う怪盗』
言葉が出なかった。
次の瞬間、電気屋のテレビに、ニュースが映し出される。
[怪盗が、再び出現しました。犯人はまた顔が変わっておりーー]
『君は、顔の利用契約書にサインをした。だから私は君の顔で、仕事をしたのさ』
「ふざけるな.......!」
声を荒げると、男は楽しそうに笑った。
『安心して、君の顔を壊したりはしない』
「俺の顔で犯罪をするな!今すぐやめろ!!」
沈黙のあと、男は言った。
『んーじゃあ私を楽しませてくれ』
「はぁ?」
『謎を残す。君がそれを解けたら、契約は破棄しよう。ただし、夜6時までだ。』
通話は一方的に切れた。
直後、男から、動画が届いた。再生すると、画面は真っ暗だった。
だが、耳を澄ますと、小さな音が聞こえた。
ツー。ツツー。
規則的な音
俺はそこで気づいた。
「......モールス信号....?」
俺の顔 三丁目の雀 @3chome_no_Suzume
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