待ってろ!チャラ男神!!

はいどん

第1話 チャラ男神

あれ?

ここは、どこだ…?


辺り一体、白い世界で埋め尽くされている場所で俺こと山田心明やまだここあは目が覚めた。


「よ、目が覚めたか。取り敢えず、お前を今から別の世界に転移させるぜ。」


何も無かったはずの空間に突然、金髪にピアス、浅黒い肌をしている、めちゃくちゃチャラそうな人が現れた。しかし、物凄く顔が整っている、所謂イケメンだこの人。


「え?誰?転移??」


今、転移と言ったのかこのチャラ男は…てか俺、死んでなかったのか……


確か、学校の帰り道に居眠り運転と思われるトラックが、横断歩道を渡っている女子高生に突っ込んで行きそうだったから、思わず飛び出しちゃったんだっけ…完全に死んだと思ってた。


「無事だったのかな…あの子」


そう思わず口に出る。


「無事だぜ、あの子はお前が勇気を出して飛び込み、突き飛ばしてギリギリセーフってとこだな。たまたま見てたんで面白そうな奴だと思ったんでな、コッチに呼び出してみたんだよ、あのままだと、お前は死んじまってたしな。因みに俺はジンって言う神様だ、よろしくな。」


女子高生を助けられたことに思わず安堵し、神様を名乗る人に返事をする。


「良かった、でも、転生じゃなくて転移なんですね。」


話に驚きつつも、俺も最近は転生もののライトノベルは見るから、この展開は良く知っている、しかし、転生ではない事にちょっと残念な気持ちになるな。めちゃくちゃイケメンで貴族とか王子とかに転生させて貰って、めちゃくちゃ優雅な暮らしとか憧れるじゃん。しかし、まぁ、身分が良くても自分に人を導く様な裁量なんてあるか分からないし、不安だからそれはそれで怖いけど。


「ハハっ、俺んとこで今はあんまり転生はさせないんだよ、ここんとこずっと信仰足りてないしな〜、まぁ、感じ、お前の場合は転移した先でも体に問題はないと思うぜ。それに、そのまま転移させるわけじゃねえ、一応ギフトも用意してある。」


ギフト!?

その言葉に心臓が跳ね上がる様な気持ちが湧き上がる。テンションが上がってきているのだ。

しかし、信仰たりてないって、あんまり人気ないのかなこの人。


「ククッ、喜んでやがるな、今回、お前に渡すものは決めてある、コレだ。」


目の前の神様の様なチャラ男、チャラ男神と呼ぼう。チャラ男神は目の前に光の玉を生成すると、その光の玉は、俺の体に吸い寄せられるように入ってくる。


「それは、武具の心器、お前が最初に思い描いた武具を形にする力。一度武具を顕現させるとその形は固定され、いつでも好きなタイミングで呼び出せるように出来る。そして、その心器はお前の成長に合わせて進化する。」


何それ、めちゃくちゃかっこいいんですけど、某狩猟ゲームモ◯ハンみたいなイカつい武器とかエ○スカ◯リバーみたいな聖剣も作れちゃうって事!?


「お、おぉ…!!」


体に光が入り、なんだか暖かいもの包まれる感覚がある。


「あ、ありがとうございます!それで…転移先の世界はどう言った世界なんですか?」


受け取ったギフトに感謝しつつも、転移先について尋ねる、これでゾンビだらけのバ◯オハザードみたいな世界だったら個人的に最悪だ、転移したらゾンビしかいない世界でしたとか怖すぎる。

正直、ドキドキしてきた。


「お、飲み込み早そうで助かるぜ、転移先はお前の住んでた地球と似たような星ではあるが、レベルや特殊なスキル、魔法があり、魔物も住んでいる世界だ。まぁ、大変だとは思うがその心器を使いこなせれば問題はねえはずだぜ。」


ウオオオオオオオオオオッ!!

所謂、剣と魔法の世界だ!良かった、ファンタジー系で良かった!これでホラー系とかだったら、悪いが最初の街から動けない自信があった。


「ありがとうございます!よろしくお願いします!!」


「喜んでくれて何よりだ、後な、実はお前に頼みがある。」


「はい、なんでしょう!?」


なんだか、急に、少し元気がないような気もするチャラ男神からお願いがあると言うが、テンションが上がっていたので少し食い気味に答えてしまった。


「お前の心器はお前が亡くなった時に俺が回収する、その心器の成長具合によっては、神器に昇華させる事が出来る。成長した心器や神器は俺の力の源にもなっているんだ、お前が成長すればするほど俺のためにもなるって事だ。」


な、なるほど。つまりは、ただ俺を転移させるわけではなく、チャラ男神にも利がある様になってるのか。これは、俺の異世界での役目って事になるのかな。良い目標を貰ったかも。


「それと、今の世界では俺の信仰はだいぶ他に落ちている。理由は二つ、一つはもう一柱の神、女神アルミシミウスへの信仰が盛んとなっているから。これについては、300年くらい前までは俺と信者数はそんな変わらなかったんだが、自分の信者欲しさにこいつがやたらと神技使いまくって世界に干渉しちまうから一定数以上の人間はアイツの信者になっちまってんだよ。」


「え、じゃあチャ……ジン様も神技を使えば良いのではないですか?」


「いや、神技ってのは神が成せる技だ、この力を使い過ぎると世界は均衡を保とうとしてその正反対の力、つまり邪神の神技の世界への反映力ってのが強くなっちまう。」


そ、そうか、そうだよな、邪神ってのがいてもおかしくないよな、ちょっと怖いけど。


「それで、もう一つの理由なんだが、そのアルミの馬鹿が自分の信者欲しさに神技使いまくるから、今度は邪神の神技によってめちゃくちゃ強化された魔物も顕現してるって話だ。まぁそれはアルミの神技の恩恵を受けてる奴が倒せば良いって話なんだが、問題があってな、信者となる為にはそれぞれ信仰する神の像へと祈りが必要になるんだが、これが、アルミの奴のは108個ある、んでもって、自分の信者に対してはめちゃくちゃなバフをかけてやがるから、その濃密な神の加護を受ける為に、信者を管理している協会組織まである始末だ。ククッ、アルミも想定外だったろうな、全ての人間を自分の信者にするつもりが、一部の権力者によって、それを制限されちまってるわけだ。」


なんだか壮大な話になってきた、神様同士で仲が悪いって事か、しかし、アルミシミテマスだっけ?めちゃくちゃアルミホイルみたいな名前だな。


「しかもあいつ、自分の信者に信託で、俺の神の像を破壊させて回ってるんだ。今、俺の神の像は一つも現世にはねえ。信仰が無いと、俺の神力はただただ減っていくだけだ。まぁ、そうなってもお前の心器が成長して帰ってくれば、まだ存在を維持できるってわけだ。」


「え…、そ、そんな……」


とんでも無い話である、めちゃくちゃ責任重大だ。本来死ぬはずだった俺を、コチラに態々連れてきてくれた神である、異世界ヒャッハーと言うだけでは済まないわけだ、まぁなんだ、何というか、受けた恩は返さなきゃな、何か俺に出来ることあるかな、聞いてみよっと。


「あの、俺に何か、出来る事は無いでしょうか?」


チャラ男神ことジンはう〜んと考えこんでいる。


「そうだな…、んじゃあ、お前に神の像を一つ託すよ、今の力じゃあまりでけえのは渡せねえし、お前も困るだろうから小さい手のひらサイズのやつな。信者を増やしてくれとは言わねえがまぁ、たまに思い出したら祈ってくれや、クククッ」


神の像か、毎日祈ってやるかな、しかし、俺が心器の成長させ切れず死んでしまったら、もしかしたら自分が消えるかもと言うのに、何でこのチャラ男は笑っていられるんだ、怖くないのかな、消えるのが。


「あの、怖くないんですか?俺が心器を成長させる前に死んでしまったらジン様も消えてしまうのではないのですか…?」


神は笑った。


「ククククッ…、ハハハハッ!お前、面白い奴だな、人間が神の心配なぞするな、俺たちはこの世界の均衡を、人間を見守る為に存在している、仮に一柱の神が消えてしまっても、もう一柱の神が世界を見守るようになってある。確かにめちゃくな事をしてるアルミでも流石に邪神が暴走し始めたら対抗せざるを得ない、その時は俺がもし消えていても、アルミの信者達で何とか出来るはずだぜ。まぁ、信仰していない、信仰させて貰えない奴らは死んじまうかもだけどな…、それに、アルミの奴がいくら強引な手を使ったとしても、止められなかった俺の責任でもある、自業自得ってもんだ…」


自分が消えることに対して笑って誤魔化しているのか本心なのかは分からないが、自分の力不足で罪なき人が死ぬ事については、悲しそうな顔をしていたように見えた。この世界を見守るって、自分の子供のようを見守っているような事なのかな…、分からない、分からないけど、きっと、悲しいんだろうな…。よし、決めた!


「俺、本当はトラックに吹き飛ばされて、死んで、そのまま終わり、だったのかな?分かんないけど、今はあなたのおかげで、面白そうな新しい世界に行くことが出来ます、だから、必ず頂いた心器を成長させて、なるだけ信者を増やして見せます!!」


これがせめてもの俺が出来る恩返し、なのだろうか。それは分からないが、今思っていることを口に出した。チャラ男神を見ると、先程までの軽快な笑いはしていなかった。ただ、優しい笑顔でこう言った。


「ありがとう」


チャラ男神、かっけー。思わず男の笑顔に見惚れてしまうほどの眩しさを感じた。


「それじゃ、そろそろ話は終わるかな、転移させるぜ、取り敢えず街の近くに転移をさせる、良いか、転移したら俺の渡した心器をちゃんと使えよ。じゃないと魔物に出会したら殺されるかもしれないからよ。」


俺が少し呆けていると、転移させる話になった。

それと、殺されると言うワードに少しドキッとした。女の子を助ける為にトラックに轢かれた時は違う、化け物に殺されてしまうイメージを一瞬してしまった。


「じゃ、頑張れよ、お前だけの最強の武具、楽しみにしてるぜ。」


チャラ男神はイケメンスマイルでニカッと笑い、そこで俺の目の前は真っ暗になった。


「少しは、楽しみが増えたかな」


チャラ男神は少しだけ、笑みを浮かべていた。

そして、消えていく山田を見守るチャラ男神だけが白い空間に残った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

待ってろ!チャラ男神!! はいどん @hydn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ