シンデレラ感謝の日
豆すけ
シンデレラ感謝の日
外の掃き掃除をしていると、私を呼ぶ声が聞こえる。
「ちょっとシンデレラ!こっちに来なさい」
私はとある名家に妾の子として生まれ、その母も早くに亡くなり、今は本家に住まわせてもらっている。
捨てられないために、朝早くから掃除洗濯などの雑務を行い、お義母様とお義姉様の食事を作り、遅くまで行なっている。
何か失敗をしてしまったのだろうか。下義姉様に呼ばれてリビングに行ってみると、そこにはモップを持ち、ビシャビシャの床に立ち自身もずぶ濡れになっている下義姉様がいた。
「どっ、どうなさいましたか!」
何故モップを持ってびしょ濡れになっているのかわからないが、私はすぐに着替えてもらおうと駆け寄った。
「別にこれはどうでもいいの、貴女朝言った事を忘れたの?」
「えっと……」
朝の事
ご飯を食べていると、お義姉様2人がやって来て私を挟む様に座った。
「いいことシンデレラ。貴女は今日自分の部屋から一歩も外に出ることを禁じるわ」
「……えっ」
朝ごはんを食べ終わるまで待つと、お義姉様2人に挟まれて、自分の部屋まで連れて行かれた。
「申し訳ありません、お義姉様……ですが−−」
「すぐにお部屋に帰りなさい」
私はそのまま下義姉様に押され、リビングから追い出される。
ドア越しに覗くと、鼻歌をしながらびしょびしょの床を水が滴るモップで拭いている。
そろそろオヤツの時間になり、いつものようにお義母様とお義姉様にお茶とお菓子を出そうと食堂へ向かうと、今度は上義姉様がいた。
「何をしに来たの?」
「お義姉様方のお茶とお菓子をお出ししようと思いまして」
「あら?今日は何もしない様にと伝えたはずですが?」
「も、申し訳ありません」
「まぁいいわ。そこに座りなさい」
そういうと上義姉様は食堂の奥に行ってしまった。
何か怒らせてしまう事をしてしまったのかビクビクしていると、ティーセットを持って戻って来た。
「ティータイムにしましょう」
私の前にティーカップを置くと上義姉様自ら注いでくれる。
「そんなっ、私がお注ぎします」
「火傷するかもしれないのだから、大人しく座ってなさい」
そして自分のカップにも注ぎ飲み始める。
「うん、美味しく淹れる事が出来ました。お味はいかが?」
緊張しながら一口飲む。
「とっても美味しいです」
「よかったわ、飲んだら部屋に戻りなさい」
「はい」
「「きゃあぁぁぁぁぁ」」
夕食の準備をしようかと考えていると、食堂の方から叫び声が聞こえた。
駆け付けるとフライパンから火柱が立っていた。
「あぶないっ!」
桶の水で消火すると、お義姉様方がヘナヘナと腰を抜かしていく。
「大丈夫ですかっ、お義姉様」
「あ、ありがとうシンデレラ。助かったわ」
キッチンは悲惨な事になっていた。シンクに溜まっている食器、上手く切らずに繋がっている野菜。
今日一日の行動を聞いてみることにした。
「……シンデレラが何か楽しそうだったの」
お義姉様たちの言ってる事がわからない。確かに家事をやっている時は楽しい、掃除や料理が好きだから辛いと思ったことはあまりない。
「でも、なんで……」
言ってくれれば一緒にやるのに。
「私達は貴女の姉よ。貴女に出来て私たちに出来ないのが悔しいじゃない。それに、家事をやってる貴女がカッコよく見えたのよ」
「でもダメね。あたしも、お姉様も全然上手くいかないし」
お義姉様たちは俯いてしまった。
「そ、それでは私と一緒にやって下さいませんか?」
「「え?」」
お義姉様たちの目が大きく開く。
「とりあえず、今日のご夕食を一緒に作ってくれませんか?」
2人は顔を見合わせると笑顔で答えてくれた。
「「よくってよ!!」」
そして3人並んで夕食を作り始めた。
上義姉様は料理にはまったようで今では私と2人で新しい料理を作ってみんなに食べてもらう様になった。
下義姉様は掃除がお気に召した様で自分用のモップや雑巾などを使い毎日掃除をする様になった。
「お義姉様方が毎日家事を手伝ってくれているので、大変嬉しいのですがそろそろ舞踏会があるので手のケアをしなくては……」
「何を言ってるのシンデレラ、これは私達3人の生きている証なのよ」
「そうよ、貴女のお陰で毎日が楽しくなって来たのよ」
2人の言葉にこれまで頑張って来た事が報われた様で、涙が溢れてくる。
「「ありがとうシンデレラ」」
舞踏会では王子様には謁見する事は出来なかったが、とても楽しい舞踏会になった。
下姉様が出された料理をすごく気に入ってしまい、私と上姉様に再現して欲しいとねだってくるほどだった。
その後舞踏会の料理が食べられると貴族の中で噂になったのだが、それは私達3姉妹だけの秘密だ。
シンデレラ感謝の日 豆すけ @si-yun
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