第2話 ep2
「御笠家よりご紹介いたします、長男の虎雅です。」
「本日はありがとうございます。花御家の長女の燕でございます。」
厳粛な挨拶とともに、両家の顔合わせがはじまった。御笠家のご当主と燕の父は国で一番の商会で会長と副会長を務めており、その二人が醸し出す威厳によって広間は緊張感で満たされている。
(父上は野心家だから、いずれ会長を引き継ぎたいんでしょうね)
「我々は長い話があるから、若い二人は庭で花見でもしてくるといい。」
形式的な歓談が済むと、私と婚約者…の虎雅さんはご当主に促されて部屋を出た。
(は、はじめましての男の方と二人きりはないでしょ〜〜〜!?)
「燕さん、とお呼びしてもいいですか?」
「ぇ、は、はいもちろんです!」
「よかった。僕のことは虎雅と呼んでください。」
にこっと笑う彼に、反射的に自分の顔が赤くなったのがわかった。
少しウェーブのかかった茶色の髪に、人懐こさを感じさせるくっきりとした瞳。大柄ではないのに存在感のある、絵に描いたような青年だ。
「いえ、呼び捨てなどとてもできませんっ。」
「では…虎さんとか?」
とら、さん?
「ふふっ、よろしいんですか?」
つい素で笑ってしまった。なんて、素敵な雰囲気の方なんだろう。結婚という重苦しさを忘れてしまいそうになる。
彼のことをもっとよく見ようと顔を上げた。
ー瞬間、春の庭にため息が響いた。
「35点。」
「赤点?…ゔっ!」
ノリで返した私の眉間にビシッと衝撃が走った。見ると目と鼻の先にすらりと長い中指が伸びている。
「はじめて会った男の世辞に浮かれるとは…俺の婚約者としては品も強かさも足りん。あと色気。」
(お、俺?てかおでこを弾かれた?)
呆気に取られて金縛りのように動けない。
「うちに来てから教育係にしごいてもらえ。合格点を取るまで外出は禁止だな。」
「なっ…それは横暴です!」
突然の豹変ぶりにひるんでいた燕も、さすがにキッと睨んで言い返した。しかし虎雅は眉ひとつ動かさずにそれを見下ろし、そして…
「不出来な者に与えられる自由は無い。」
燕の、地雷を踏み抜いたー…!
飛んで鬼も結ばれる @hiyo9070
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。飛んで鬼も結ばれるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます