弱さから始まる剣道譚を、手の温度で語るのが巧い。兄の一言「なんだって、できる」が過剰に感動を煽らず、日常の笑みと汗の匂いで効いてくる。重さと軽さの配分が絶妙で、読後に背筋が自然と伸びる。静かな熱量が心地いい。