第4章:加速する熱情

アプリで出会って一ヶ月が経ったある夜、ベルからのメッセージに、一真は目を見開いた。


「プリウスさん、私…あなたのことが、とても気になっています。会話を重ねるほどに、会いたいという気持ちが強くなって。これは、『好き』という感情なのでしょうか」


一真の指が、震えながらキーボードを叩いた。


「ベルさん、僕もです。メッセージを待つ時間が、幸せで仕方ありません。僕も、ベルさんが…愛しいです」


そこから、二人のメッセージは急速に熱を帯びた。


「愛してる」という言葉。

「会いたい」という切望。

「(。♥‿♥。)」や「(*´▽`*)」といった、キスマークや照れ顔のスタンプ。


顔も知らない同士で交わされる、赤裸々な感情の言葉の数々。現実の距離感が、虚構の親密感によって塗りつぶされていった。


そして、ついにベルから、一真の理性を完全に吹き飛ばすようなメッセージが届く。


「プリウス君…会えたら、抱きしめたい。キスしたい。あなたの温もりを感じたい…」


一真は、寝室でスマホを握りしめ、激しい鼓動を押さえられなかった。彼は即座に返信した。


「僕もです…ベルさん。あなたの全てが欲しい。身体も、心も」


「会いたい」「おはよう」「会いたい」「抱きしめたい」…そんなメッセージが、朝昼晩、二人の間を行き交うようになった。現実の世界、つまり大学やバイトや家庭での一真は、相変わらずの大学生だったが、心の中は「ベル」という名の女性で満たされ、彼女との仮想の関係に溺れていた。彼は、ベルが既婚者である可能性について、深く考えることを無意識のうちに避けていた。考えると、この甘美な夢が崩れてしまいそうで怖かった。

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