花山 華残

小さく、白い手が天へと伸ばされていた。何かを求めるように、只管に。

爪が割れた。皮膚が裂け、血を流した。打ち払われ、土に塗れた。その度に、白い手は下ろされ、再び天へと伸びた。

小さかった手は何時しか色が付き、節くれていた。


節くれた手は、何かを握っていた。

形はなかった。ただ温かく、握られたそれを、只管に離すまいとしていた。

雨が降り、風が吹く。砂が舞い、日が照り付けた。

何かを握りしめ、節くれた手は何故か、冷たかった。


冷たく、節くれた手が緩んだ。

その度に、力を込め直す。離すまいと。

温かな何かに、縋るように。

雪が降り、海が鳴る。森が立ち、日が落ちた。

節くれた手から、何かが零れ落ちた。


節くれた手は、握りしめていた何かがないことに気づき、手を広げた。

温かで、離すまいとしていた何かが、なかった。

節くれた手は、何かを求めて手を伸ばした。

何かに触れた時、節くれた手は止まった。


節くれた手は、何も握ることはなかった。


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花山 華残 @hanayama-kazann

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