第2話 凍帰(とうき)
――暗い。
いや、暗いというより、ぬるい。
「……ここ、どこだ……?」
冷の意識は、溶けかけのゼリーみたいに曖昧だった。
上下も前後もわからない。
ただ、じわじわと――自分が消えていく感覚だけがある。
「……あー……これ完全に胃の中だわ……」
少女に砕かれ、噛まれ、飲み込まれた。
氷としての自分は、今まさに水へと変わろうとしている。
「二度目の人生、短すぎだろ……」
そのとき。
――カチン。
ごく小さな、しかし確かな冷えが生まれた。
《特殊条件達成》
《状態:摂取/消滅寸前》
《凍理が発現――
《凍帰とうき》》
「……凍理?」
理解するより先に、
冷の“核”のようなものが、ぎゅっと一点に引き寄せられる。
溶けかけていた水分が戻り、
存在そのものが――
凍り直した。
「……っ、冷てぇ!!?」
熱を拒むように、
冷は再び“氷”としての形を取り戻す。
しかも。
「……溶けない……?」
胃液に触れても崩れない。
むしろ、周囲の熱を奪っている。
《
《存在再構築完了》
《氷状態での意識固定を確認》
「待て……これ、復活って言葉じゃ足りねぇな……」
少女の体が、わずかに震えた。
「……さむ……?
なんか、お腹冷える……」
「それ俺だ!!
胃の中で凍帰してる氷だ!!」
数分後。
「……変だな……」
少女は首をかしげ、コップを手に取る。
「水、飲も……」
ごくごく、と水が流れ込む。
その瞬間。
「――引き寄せられてる!?」
冷の氷が水分を取り込み、ほんのわずかに大きくなる。
《凍帰反応を確認》
《凍理定着率:上昇》
「……なるほど」
冷は悟った。
「凍帰ってのは、
死に戻るんじゃない。
氷として“在り直す”ための動きなんだ」
少女はまだ知らない。
自分の体内に、
世界の想定外で生き延びた、
凍帰する氷の存在がいることを
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