第4話

 あなたは救急車で病院に運ばれた。妻が同乗したが、運ばれた病院で医師や看護師に問われてうろたえるだけでまともに答えられない。

 診察台の上でその様子を横目で見たあなたはここまで愚かな女だったかと妻を心の中で罵倒しただろう。もともとそういう気質があったが五十年かけてあなたがそうしたのだという自覚があなたにあっただろうか。

 ろくに医者にかかって来なかったあなたのことをあなたの代わりに答えたのは後から来た嫁だった。

 物静かな嫁は無感情のまま淡々と答えた。義父の部屋から物音がするので声をかけのぞいてみたら、物が散乱した部屋に這うように蠢く義父を見た。言葉をかけても答えられない。何か声は発するのですが――。

 あたかも巨大な蠢く生き物を目にしたかのような言い方。俺は化け物になったのか?とあなたが思ったかどうか。

 あなたはすぐに入院となった。

 脳梗塞。かなり重い状態だった。太い血管が詰まったために広範囲にその影響があらわれ右半身麻痺と失語という後遺症が残った。

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