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はくすや

第1話

 去年の冬だった。あなたはいつものように朝を迎えたと思っていただろう。しかしすぐにおかしな状況下にいることを知る。まだ夢の中なのかと思ったかもしれない。

 あなたは起き上がれなかった。それはくらみがあったとか頭が重かったとかよくありそうな体調不良ではなく、体が思うように動かなかったからだ。

 あなたは布団の上で身をよじろうとした。あなたは手をつこうとしたが肝心の利き手である右腕が動かなかった。そればかりが右足も動かない。右半身が麻痺したようだ。

 あなたはもうすぐ喜寿を迎える歳だった。脳梗塞を起こしても不思議ではない。あなたは頑固で強情で医者嫌いだったから血圧が高かろうが肝機能の数値が悪かろうが病院にかかる性格ではなかった。滅多に受けない健康診断で不整脈を指摘され、血液をサラサラさせる薬を飲むように言われた時も医者の儲け主義だとか言って無視した。

 その挙句がこの仕打ちだなどとあなたが思うことはない。

 しかし起き上がれないのなら仕方がない。あなたは身内を呼ぼうとした。

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