答え合わせ

 こうして、侯爵補佐であるアデルハルト・V・ロートシルトとベルナディン・ローゼンシュタイン王女の愛のない結婚式が終わり……二人は初夜を迎える事となった。

 品のある整った顔立ちに、美しい赤髪と青い瞳のアデルハイト。

 美しく気品あふれる容姿に、ややウェーブかかったロングの金髪に赤い瞳のベルナディン。

 双方、一見すれば美男美女であり、お似合いだ。

 だが、二人の表情は冷徹そのもの。

 何せ――互いに互いを愛する事はないと、腹をくくっていたからだ。

 しかし、その考えも全てがひっくり返る瞬間が、訪れた。


「アデルハイト様。最初に言わせて頂きますが、あなたを愛する気はありません」

「……ん?」

「あなたを愛する気はありません」

「待て! それは俺の台詞なんだが!?」

「はぁ?」

「き、君は! 男遊びが大層ひどいと聞いた! そんな悪女に俺の純潔は捧げない!」

「なんですって? あなたこそ女遊びがひどい上に、金銭の扱いもなっていないと聞いています! そんな殿方に捧げる純潔はなくってよ!」


 ここまで話をして、勘のイイ二人は気が付いた。


(これは……やられたな?)

(間違いないですわね……)


 ――貶められた。

 二人の事を気に入らない者達の策略により、政略結婚させられた上、現在二人は辺境の地の小さな城にいる。

 というのも、旅行をして来いと言われ、選択肢すらなくこの地に連れられてきたのだ。


「アデルハイト様」

「ベルナディン王女」


 ――ここまで舐められて、黙ってなどいられるものか。


「どうやら、利害は一致したようだな?」

「えぇ、そのようで」


 二人は、いざという時のために隠し持っていた暗殺用の武器を取り出すと、それを床に捨て、そして手を取り合い微笑みながら、共に答えた。


「「いざ! 家族に反逆する時!」」


 こうして、獅子の如く圧倒的剣術の腕前のアデルハイトと、まるで薔薇の棘の如く圧倒的魔法の使い手であるベルナディンは、互いを嵌めた家族に反逆するため――夜を馬に乗って駆ける。

 ……ローゼンシュタイン王国の滅亡は、これがきっかけで起こるとは、この時、誰も思わなかった――

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「あなたを愛する気はありません」「待て!?それ俺の台詞なんだが!?」~政略結婚が嫌だったのはお互い様だったので、利害の一致で家族に反逆します!!~ 河内三比呂 @kawacimihiro

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