日常の狭間で
宵灯(未完)
第1話
ピピピ。
静まり返った部屋に、アラームの音が鳴り響いた。
わたしはベッドから起き上がり、机まで歩いて、時計を止めた。
そこで、目が覚めた。
時計は、ベッドから離れた机の上にあった。
それが夢だったことに、少し遅れて気づく。
ぞっとした。
身体の内側を、すうっと冷たいものが通っていく。
まるで、メントールを全身に塗られたみたいに。
足先だけが、冷えている。
床の冷たさが、そこに残っている。
歩いた感触は、ない。
目が覚めたことに、ほっとする。
寒くて、ストーブをつけた。
その前に座り込み、膝を抱える。
服をぱたぱたと揺らして、温める。
朝食の餅は、もう用意されていた。
醤油をつけて、海苔を巻いたもの。
それが、わたしの好きな味だった。
正月は、たぶん、少し前に終わった。
そこで、ゆっくり、
一日が動き出した。
学校に行く。
小学校だったか、中学校だったか。
それは、わからない。
おはよう。
クラスメイトの挨拶に、気づかないふりをした。
彼女の声にかぶせるように、別の人に挨拶を返す。
気持ちが悪かった。
怖かった。
住所を教えた覚えはない。
それなのに、年賀状が届いた。
真っ白な年賀状だった。
クレヨンで、
「あけましておめでとう。今年も仲良くしてね」
とだけ、書かれている。
他は、華やかな年賀状だった。
こどもらしく、賑やかな色使いだった。
その中で、それだけが、ひどく浮いて見えた。
親に内緒で、こっそり出したみたいだった。
彼女は、喪中だと聞いていた。
それでも、年賀状は届いた。
そのことが、
わたしを、ざわつかせた。
彼女とは、
なかよくなれそうにないと思った。
彼女の親についての噂が、
ひそひそと、囁かれていたから。
下手に関わりたくなかった。
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日常の狭間で 宵灯(未完) @YOiAKARi_0
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