一番好きは、夢の中で
雪唄
一番好きは、夢の中で
赤、黄色、ピンク、緑。それに白。みんな明るい色の花。
明るい色の花びらが舞い散る今日は、あなたの大事な結婚式。
主催者も、その家族も、招待客も。みんな笑顔。
笑顔でいっぱいの今日は、あなたの幸せな結婚式。
披露宴も終わり、招待客が主催者に再度お祝いの言葉を述べて帰宅していく。
笑い声で包まれていた会場は、人がいなくなったことで静寂に包まれている。
残っているのはあなたと私。
「今日は来てくれてありがとう。亮華が来てくれて本当に嬉しかった。落ち着いたらまた一緒にご飯食べに行こう!」
あなたは私にそう言う。幸せそうに笑って。
「私もあなたの結婚式にこれてすごく嬉しい。”その人と”幸せになってね」
私は願っているの。
あなたがずっと幸せであることを。
あなたがずっと笑顔でいることを。
あなたは昔から向日葵のような人で、明るくて優しくて、キラキラしている人。
下を向くことはなく、いつも上をみて歩いていた。
多くの人の目線を奪っていくようなまぶしい笑顔を絶やさず、あなたの周りにいる人たちもみんな、いつも笑顔でした。
そんなあなたが私に話しかけてくれたのはきっと偶然なんかじゃなくて、神様のお導きだったと今でも本気で思ってる。
それほどまでにあなたはまぶしかった。
話しかけてもらって嬉しかった。嬉しかったけれど。
当時の私は今なんかとは比べ物にならないくらい引っ込み思案で、あなたになんて返せばいいのかわからなかった。
そんな私だったのに。
あなたは私といつも一緒にいてくれた。
どこに行くのにも私も一緒に連れて行ってくれた。決して私の手を離さず、私が一人になることがないように、と。
それがとても嬉しかった。
そして他の人に対して優劣感があった。
あなたは私のものなのだと。
そしてあなたも私と同じ気持ちなのだと。
あなたが結婚すると聞いたとき、私がどんな気持ちだったのか。あなたはわかる?
わかるわけがない、だって。
あなたは私と同じ気持ちではなかったのだから。
信じて疑ってこなかったのに。
あなたは私の気持ちを知らずにずっと”友達”として私と一緒にいた。
私はあなたの事が・・・。
だからこそ私はあなたの隣で笑っている人が憎たらしくて仕方がなかった。
いなくなってしまえばよいとさえ思っていた。
でも、それと同じくらいに思っていた。
そう考えてしまう自分自身が一番憎たらしくて、消えてしまいたい。と。
ドレスコードはピンクや黄色といった明るい色の服だった。
だってあなたは明るい色が好きだから。
きっと自分の好きな色を着てもらいたかったから。
だけど、私はあえて青い服を着ていった。
あなたに反抗したかったからとかそういうものではない。
昔あなたが褒めてくれた服を着て行きたかったの。
それに、あなたは私に言ってくれた。
「亮華は青が似合うね。すごくきれい。私、ピンクとか黄色みたいな明るい色が好きだけど亮華が着る青は好き。だって、青いお星さまみたいにキラキラして見えるから」
だから私は青い服を着て行ったの。
周りはみんな一様に明るい服を着ていたのに。
あなたへの気持ちを捨てきれなくて。
だから。
だからこそ聞きたいことがあるの。
「ねぇ。一つだけ聞きたいことがあるの。あなたは明るい色が好きだったよね。ピンクとか黄色とか。なのに。なんで”青い”ドレスを着ているの?」
てっきり好きなピンクや黄色のドレスを着ていると思っていたのに。
あなたは何故か”青い”ドレスを着ていた。
「・・・なんでだと思う?」
はっきりしない答えに私は戸惑う。
何故なのか。
明るい色が好きで明るくてキラキラしたあなたが、何故わざわざ”青い”ドレスを選んだのか。私にはわからない。
そもそもわかってはいけない気がする。
理由を知ってしまったら私はあきらめられなくなってしまう気がするから。
でも、
「わからない。・・・なんで?」
震える声で尋ねてしまう。
知りたいけれど知りたくない。
淡い期待と少しの焦燥感があなたの紡ぐ言葉を待っている。
「だって青色は、私の”一番”好きな人が着るとすごく似合うから。私も着たかったの、青いドレス」
あなたは笑顔なのに涙を流している。
その涙はキラキラしていて星屑みたいだった。
赤、黄色、ピンク、緑。それに白。みんな明るい色の花。
その中に青い花びらも舞い散る今日は、私たちの大事な結婚式。
主催者も、その家族も、招待客も。みんな笑顔。
笑顔いっぱいの今日は、私たちの幸せな結婚式。
一番好きは、夢の中で 雪唄 @Yukiuta_smile_22
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