学園トップの『クーデレ才女』が、放課後の教室でだけ俺に「ぎゅっとして」と甘えてくる件について

こばやJ

一章

第1話 雨の教室と才女の秘密

「ふ……うぁ……」


 湿った窓。薄暗い雲。漏れる吐息。

 私一人だけが残っている教室は驚くほど静か。

 ざあざあと外の雨音がハッキリと聞こえてくる。

 そんな中で私は机に広げた参考書に目を向けず、シャーペンでくうを描く。

 空を描いたシャーペンのお尻で軽く、膨らんだ胸元を柔く触れてみる。


「ん……んん……」


 なにやってんだろ、私。

 また漏れ出る自分の吐息に、自暴自棄になる。

 をしたところで何も解決しないことを自分がよく知っているのに。


「……でも、もうちょっとだけ」


 教室の前に掛けられてる時計は四時半ちょっと過ぎたところを示している。

 普通の人はとっくに帰ってるし、部活がある人は青春を励んでいるところだろう。

 雨の強い今日は特に。

 家に帰っても特筆してやることのない私はむしろ、学校で勉強するのが性に合っている。そう、ついさっきまではキチンと勉強に集中していたのだ。

 雨の中でも時々耳に入ってくる運動部の掛け声が聞こえてくるまでは。


「いいなぁ、青春……」


 ふに……。ふにふに……。

 外を眺めてもそこには水浸しになったグラウンドが目に入るだけなのに、何かを期待して眺めて───自暴自棄を止めない私。

 最終的に映るのは白銀ショートヘアの吊り眼の少女。

 無駄に育ってしまった胸を虚しくもシャーペンのお尻で突き弄り、寂しさを紛らわす『星乃 アリス』という名の自分。


「あぁ、ダメ……また……っ」


 一段とシャーペンで弄る強さを増す私。

 ペンを握っているのは自分なのに、別の意思で動かされている感覚に陥っている。

 さっきまで捗っていた数学の問題集も、数分ほど手つかずのまま。

 こうなった原因は分からない。けれど、対処法は知っている。

 初めてのことじゃない。高校に上がってから、何度もこの感覚───自暴自棄の衝動に駆られているもの……。


「しばらく、誰も来ないわよ、ね?」


 再び時計を確認する。まだ部活が終わるには早い時間。

 覚悟を決めた私はシャーペンをそのままに、空いている手をスカートの中へと滑りこませる。

 するり……。する、するり……。

 雨音で教室が支配されているはずなのに、自分から発せられる布擦れ音が妙に大きく感じる。

 それがまた、衝動を大きくさせていく。


「はやく、はやく済ませないと……っ」


 スカートの中、やや温かみを感じる太ももの付け根を指でなぞり這い、衝動を鎮めにかかるその時だった───。


「こんな雨の中、筋トレばっかやってられっか!!」


 ドタドタと激しい足音と共に、びしょ濡れのユニフォーム姿のクラスメイト───楠木くすのき健太郎くんが教室に駆け込んできた……。




―――――――あとがき―――――――

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