光と闇の継承者〜初代最高神誕生〜
加藤すみれ
プロローグ
世界は、一本の世界樹から始まった。
天を衝くその大樹は、まだ名もなき世界に、五つの精霊を生み落とした。
大地の精霊。
星の精霊。
愛の精霊。
時の精霊。
そして、歌と氷の精霊。
精霊たちは世界に形を与え、流れを定め、
やがてその意思から、五つの種族が生まれた。
人間族。
獣人族。
妖精族。
魔神族。
女神族。
精霊と聖獣に見守られ、世界は均衡の上に成り立っていた。
光と闇、その違いが「正しさ」と呼ばれるまでは。
光を宿す女神族と、闇を纏う魔神族。
その差は、ほんのわずかでありながら、決して越えられぬ境となった。
互いを否定しなければ、自らを保てない。
相手を敵と定めなければ、存在を証明できない。
そうして争いは、祈りの名を借りて、幾千の時を越えて続いてきた。
だがある時、その理から外れた出会いがあった。
一人の魔神族と、一人の女神族。
刃を向け合うはずの二人は、戦場ではなく、
誰にも見られぬ静かな場所で出会った。
そこで彼らは知ってしまった。
敵である前に、同じ世界に生まれた“誰か”であることを。
祝福されぬ愛。
許されぬ選択。
それでも、彼らは命を残した。
闇の力を宿す少女。
光の力を宿す少年。
そして――光と闇、その両方を抱いた少女。
生まれた瞬間、世界は理解した。
その存在は、均衡を守る者ではない。
均衡そのものを、問い直す存在であると。
恐れは、やがて判断となり、
判断は、迷いなき決定へと変わった。
闇の少女は魔神族に引き取られ、
残る二人は女神族に引き渡された。
泣き声が、世界のどこかで途切れた。
その瞬間、誰もが「正しい選択」をしたつもりだった。
引き裂かれた姉弟。
分かたれた運命。
――だが、世界はまだ知らなかった。
少女は、世界を壊さない。
壊れている世界の原因を、ただ終わらせる存在だということを。
正しさも、過ちも。
光も、闇も。
そのすべてを拒まず、抱いたまま、歩み続ける者。
これは、
闇と光の力を持つ少女が、
世界を優しく抱きしめるように変えていく物語。
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