優しい肉まん。
ともゆり
昔の冬の話。
小学生の頃、冬になると
母が僕と妹におやつとして
肉まんとあんまんを1つずつ出してくれた。
妹は優しいので、
「おにぃちゃん、好きな方を選んでいいよ」
と必ず言ってくれる。
けれど、妹はあんこが食べれない。
「うーん、あんまんがいいなぁ」
僕はあんまんの方を選んであげる。
本当は肉まんが食べたい。
これは僕が優しいからではない。
これは家の暗黙のルールなのだ。
妹が、絶対優先なのだ。
今でも、僕はだれかに
「AかB、好きな方を選んでいいよ」
と言われると
僕は相手が選ばない方はどちらかを
考えてしまう。
悲しいくせが染み付いてしまった。
僕の今の彼女は、
自分の食べたいものを言わない。
「ご飯、何食べようか?」と聞くと、
「あなたは何が食べたい?」と言う。
「いや、いつも僕の食べたいものだから
今日は君の食べたいものがいいんだ」
と言っても
「私はいいのよ。さぁ選んで」
と笑う。
「じゃあ、君の1番好きな食べ物」
「私はなんでも好きよ〜、
早く食べたいもの決めてよ〜」
君がこんなにも頑なに
人を優先するきっかけになった
過去はなに?
僕は君の優しいところに傷が見える。
嫌な顔ひとつせずに、
自分の思い通りに動いてくれる人。
――違う。
嫌な顔も、本音も、見せれない人
だと思う。
優しさを、
当然のように受け取ってしまえるほど、
鈍感な人にはなりたくない。
あの冬。妹の声が、
先に僕を気遣う。
「肉まんと、あんまん、どっちがいい?」
そこには
僕と妹、二人分の優しさがあった。
優しい肉まん。 ともゆり @yuri0428
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