《世界最底辺》から始まる仲間無限召喚 ――外れ能力だと思っていたら、世界を従える《支配権限》でした――

羽蟲蛇 響太郎

第1話 《最底辺能力》と追放

――この世界では、能力がすべてだ。


十六歳の誕生日。

それは祝福の日であり、同時に宣告の日でもある。


王都郊外の《能力測定場》。

孤児院出身の少年、カイは列の最後尾に立っていた。


「次、カイ・アーヴェル」


呼ばれ、前に出る。

水晶に手を触れた瞬間、淡い光が走った。


だが――光は弱い。


係員が眉をひそめ、結果を読み上げる。


「能力名、《仲間召喚》。ランク……E」


場が、一瞬で静まり返った。


次の瞬間。


「は? 仲間召喚?」

「戦闘力ゼロじゃねぇか」

「外れだ、外れ」


嘲笑が飛び交う。

能力ランクE――最底辺。


「……召喚できる仲間は?」

と係員が形式的に尋ねる。


カイの脳裏に、淡い文字が浮かぶ。


――《現在召喚可能:1体》

――《条件:弱小存在》


「……弱い存在、です」


その答えが、決定打だった。


「使えねぇ」

「孤児に相応しい末路だな」


その日のうちに、カイは《冒険者登録不可》を言い渡され、

王都から追放された。



夜。

森の入り口で、一人立ち尽くす。


「……やっぱり、ダメだったか」


悔しさより、虚しさが勝っていた。


そのとき。


――《仲間召喚を実行しますか?》


頭の中に、はっきりとした声。


「……試すだけ、だ」


カイが頷いた瞬間、

足元の魔法陣が淡く光る。


ぽん、と現れたのは――


「……スライム?」


ぷるん、と揺れる、小さな青い塊。


だが次の瞬間、表示が変わった。


――《仲間登録完了》

――《対象:スライム》

――《忠誠度:MAX》

――《進化可能》


「……え?」


スライムが、ぴょこんと跳ねる。


「ぷるっ!

 《マスター》!」


――喋った。


カイは目を見開く。


「……もしかして」


能力説明が、初めて完全に表示される。


――《仲間召喚》

――《仲間は成長・進化・覚醒する》

――《仲間の上限:なし》


夜の森で、少年はまだ知らない。


この能力が――

世界を従える《支配権限》であることを。

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