続:手

崔 梨遙(再)

『手』の続編 1324文字 掌編です。

 【前回のあらすじ】僕が30代の前半の時、駅のホームでスーツの女性(和歌子)に『私を誘いなさいよ』と絡まれて居酒屋へ。そしてホテルへ。僕のゴッドハンドとゴッドタンが炸裂しました。



『ああ、気持ち良かった。あんた、合格やで』

『それは良かったです。和歌子さんって、メガネをはずしたら美人なんですね』

『メガネをかけてても美人や! もっと褒めろ!』

『どこを?』

『全てや!』

『じゃあ、和歌子さんは全て素敵ですね』

『じゃあって言うな』

『和歌子さんは全て素敵です!』

『それでよし! で、これからどうすんの?』

『そうですね! シャワーを浴びて寝ましょうか』

『ほんで? その後は?』

『え? 帰るでしょ?』

『どこに?』

『え? 家でしょ?』

『私は?』

『え? 家でしょ?』

『誰の?』

『え? 和歌子さんの』

『ちゃうやろ? 私をあんたの家に誘わんかい! 誘わんかい! この私を自分の家に帰らせてどないすんねん、ここは私を連れて帰るところやろ』

『じゃあ、来る?』

『行ってあげてもええで』


 どないやねん?


『ほな、おいでや』



『いい部屋やんか、広いな』

『12畳のワンルームやけど』

『ほら、私が家に来たら頼むことがあるやろ?』

『え? 何? わからないです』

『私に手料理を作ってくれって頼まんかい』

『あ、じゃあ、手料理を作ってください』

『しゃあないなぁ、作ったるわ』

『……』


『どう? 私のカレーライス』

『力一杯不味いです』

『ちゃうやろ? 褒めんかい!』

『全力で不味いです』

『褒めてますよ。僕の最初の嫁は殺人的に料理が下手でしたよ。一口で気を失います』

『そんなん、褒め言葉とちゃうわ。ほんで、これからどないすんの? あんたはどうしたい?』

『洗い物でもしましょうか』

『ちゃうやろ? 私やで? 私とここまで進展したのに、何を言うたらええんか? わからんの?』

『わからないです』

『告白やろ? 僕と付き合ってください! って言うところやろ? なんで言わへんの?』

『いやいやいやいや、それは、ちょっと』

『何? あんた、今は恋人がいないって言うてたやんか』

『まあ、そうなんですが』

『ほな、付き合わない理由は無いやんか』

『そうなんですけど』

『私やで! 私と付き合えるんやで! 最高やんか、何も迷う必要は無いやん!』

『それじゃあ……』

『はい、ハッキリと言いなさい!』

『僕と……付き合ってください』

『しゃあないなぁ、付き合ったるわ』

『メガネをはずしたら美人でしたがオチで、それで終わると思ってたんやけどなぁ』

『なんの話?』

『いえいえ、何もないです』

『毎週、デートやで! ほな、私は帰るわ』



 僕は悩みました。絶対に和歌子と付き合いたくない、でも、根拠の無い自信からくるあの上から目線と押しの強さ、絶対に僕が押し切られます。


 そこで、閃きました。『ふることが出来ないなら、ふられてやろう!』



 僕はデートでは大幅に遅刻しました。繁華街を歩いてる時や、2人でいる時にわざとおならをしました。和歌子に鼻をほじりました。鼻クソは和歌子の服で拭きました。という感じで嫌われることを連発でやってみました。



 ある日、和歌子がとうとう言いました。


『別れましょう』

『なんで?』

『あなたは私にふさわしくないから』

『それは残念、でも、仕方ないですね』



\(^o^)/

 こうして、僕は平穏を取り戻しました。




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続:手 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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