11話「逃げ道無し」

やってしまったな。


遠くから、甲高い警鐘の音が鳴り響く。

あーあ。これで確実に、もっと面倒なのが寄ってくる。


墨「……っと」


俺は素直に両手を上げた。

無抵抗、全面降伏のポーズ。


墨「こうさーんでーす」


日「逃げないんですか?」


墨「逃げ道、もうねぇだろ。こうなっちまった以上」


一拍置いて、肩越しに日丸を見る。


墨「もちろん、君もな」


日「……私もですかぁ……」


墨「旅は道連れぇ〜?」


日「……世は情け、です」


妙に納得したように呟く日丸。

諦めが早いのは長所なのか短所なのか。


直後、やけに屈強なガードが現れ、

俺の両腕をがっちりとホールドしてきた。


……痛ぇ。


一方、日丸はというと。

逃げる気配が一切ないと判断されたのか、拘束なし。

うらやまし〜……


そこから先は、とんとん拍子だった。


闘技場到着。

即座に登録。

最低限の説明。


気づけば俺は、

完全に見せ物小屋の中に放り込まれていた。


どうやらルールは単純らしい。


――勝ち抜き戦を、全部突破すれば無罪。


墨「……はぁ」


面倒臭ぇ。


だが、これ以上日丸を待たせるのも気が引ける。

あいつ、表に出さねぇだけで不安そうだったしな。


墨「さっさと終わらせるか」


そう呟いて、

俺は闘技場の土を一度、踏みしめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る