第2章:運命の悪戯

5話「新しき目的地」

酒飲みたちの騒動から一日が経った。

結果として得られたものはほとんどない。

気晴らしのつもりで立ち寄ったはずが、結局は骨折り損のくたびれ儲けだ。


日「……もう、出発しますか?」


墨「あぁ。ここに居座っても、しばらくは酒にありつけそうにねぇしな」


日「やっぱりお酒目当てなんですね。なんだか、焼けちゃいます」


墨「アホなこと言ってねぇで、さっさと行くぞ」


日「はいはーい」


軽い返事。

いつの間にか、日丸のノリも随分と柔らいできている。

からかわれるのには慣れていない分、少しだけ居心地が悪くて、少しだけ新鮮だった。


日「それで、次はどこへ?」


墨「次かぁ……さて、どうすっかなぁ」


日「決めてないなら、ここ行きましょうよ!」


そう言って、日丸は地図を指差す。

そこに描かれていたのは――戦女神の都・タブール。


墨「……んー。まぁ、いいけどよ」


日「歯切れが悪いですねぇ。なにか、嫌な思い出でも?」


墨「いや。ただ……俺、一身上の都合で、この刀しか使えねぇんだよ」


日「だったら尚更ですよ。武器を買わなくても、闘技場を眺めるだけで時間は潰せますし」


日丸の言う通り、タブールは武器売買が盛んな都だ。

だが、何より街を熱狂させているのは――ルール無用(バーリトゥード)の闘技場。


血しぶき。

悲鳴。

飛び散る肉片と、倒れる命。


この世界で、これほど分かりやすい娯楽もそうそうないだろう。


……こいつ

もしかして、意外とサイコパスなんじゃねぇか?

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