「殺人姫:枷取菜緒は幸せに  たい」

sterben

第1話 始まりの日 その1


 鳥のさえずりが…ちょっとうるさい、ある日の朝のこと…


 薄暗い部屋の一室にいた、動く黒い影–––エプロンを付けた少女が、閉まっていたカーテンを勢いよく開けた。


 一部が赤い…長く黒い髪、赤い右眼と黒い左眼のオッドアイ、右眼の上の前髪にはトレードマークの赤いヘアピン、そして–––



 –––少女には…右腕が無かった。



「ん…起きて、朝。」

 少女はベッドの方を向き、毛布の山へと声をかける。

 夜はまだ寒さが残り、毛布が手放せない。


 そして…ベッドの住人は毛布に包まったまま、起きられない。


「うみゅう…後、5時間…」

 ベッドの住人も少女のようだ。寝ぼけている状態で、頑張って声だけ出した。


 …だが、5時間は絶対に無理だ。長すぎるし、学校に遅刻してしまう。


「…5分。」

 右腕の無い少女は、眠いなら出来るだけ寝させてあげようと、少しだけ時間をあげた。

 ベッドで寝ている少女を、つい甘やかしてしまうのが右腕の無い少女の悪い癖だ。


「分かっ…すぴー…」

 眠り姫は、すぐに夢の中へと逆戻りしてしまった。


 …起こしに来た少女よりも早く寝るくせに、早起きすることは滅多に無い。



 黒髪を揺らしながら少女は部屋を出て、すぐ目の前の部屋の扉を、左手で強く叩く…

「ガンッ!ガンッ!」

 いまにも扉が壊れそう…というか、少女は以前に何回か壊している。


「ん、朝。」

 部屋の中に通っているか分からないが、小さく声をかけた。

 少女にとっては、基本の声量だ。

 …当然ながら、扉を叩く音の方が大きかったが。


「あい!?あい、起きた、起きたるよ?」

 部屋の中から返事が返って来た。とりあえず…中で寝ていた人物は、起きたようだ。


 もう一人の寝坊助を、雑に起こし…少女は、静かに階段を降りていった–––



「…ガチャッ、ギィィ。」


 先ほど、何度も叩かれた扉がゆっくりと開き…部屋の中から、女の子に間違われそうな見た目の少年が出てきた。


 金色の髪を雑にヘアゴムで結んだ、青い眼の少年…

 まだ少し寒い時期なのに、タンクトップ姿でいた。…下は流石にスウェットだったが。


「眠ぃ…。」

 寝起き直後で、良く見えていない目をこすりながら、少年もゆっくり階段を降りていく。

 偶に、頭を壁にぶつけながら。


 そして、階段を無事降りた先、ガラスのついた大きめの扉を開ける。

「ガチャッ。」


 扉の先は、いい匂いの漂う広いリビングだった。テレビには朝のニュースが映っている。


 …多少頭が回り始めた少年の目線の先には、飲み物を冷蔵庫から出していた、エプロン姿の少女が居た。

 テーブルの上には既に、朝ごはんが用意されている。

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2026年1月22日 13:00
2026年1月24日 13:00
2026年1月26日 13:00

「殺人姫:枷取菜緒は幸せに  たい」 sterben @sterben_dead

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