おすすめのオムライス(?)

多田野昇

可愛い方を食べる



 今日は仕事、早く終わったな。

宿泊先のホテルに帰ると、静香しずかは風呂場に直行した──


熱いシャワーを浴びたら、冷やしていた缶チューハイを飲みながらSNSの更新と返信。


この時間は芽衣めいの配信が始まる時間だ。今日の配信は……オムライスか。

リンクに飛ぶと、キッチンを背景に、カメラの前で待機している芽衣がコメントを読み上げていた。


「あーー!静香さんいらっしゃーーい!今日は仕事早く終わったんだー。ゆっくりもこもこしていってねー」


芽衣は流れるログを次々とひろっていく。


そして20:00を回ったタイミングで、咳払いで空気を引き締めた──



「そろそろ時間なので、今夜も始まりまーす。わたあめ大好き羊乃ひつじの芽衣めいでーす。ぷりてぃーはっぴー。」


「今日は月曜限定のこの企画…!

 今週もやってまいりました。『飛んでけ〜〜〜』」



『オムラーーーイス』



掛け声と同時に、金のオムライスのギフトに埋め尽くされ、ログが高速で流れる。


芽衣はオムライスを作り始めながら、ギフト連鎖が落ち着いたタイミングでログを拾いはじめる。


オムライス好きだなぁ。本当に…。


──いつのまにか完成していたらしく、黄色くて丸いものが2つ、カメラの前に置かれていた。

中くらいのかたまりと、ひとまわり大きなかたまりだった。



 ──翌朝、静香は目を覚ますと昨晩の芽衣の投稿を見た。


どうやら昨日の2つの丸いものは、オムライスみたいなおむすび、「オムすび」というらしく、丸めたチキンライスを卵で包んだ球だったらしい。

 そして大きさが違う理由は、意中の男に見せて、「私は可愛いほうを食べるー」と決め台詞を言い、小さい方を選ぶといいらしい。


…マ゛……!?


静香は親指ボタンで評価を押し、出る支度を急いだ──

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おすすめのオムライス(?) 多田野昇 @noboru_tadano

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