恋のライバルが「野郎」なんですが、勝ち目はありますか?
白玉蓮
第1話 幼馴染は双子①
私には幼馴染がいる。
私より二つ年上で、お隣に住む双子の兄弟だ。
小さい頃から小柄で、どこかドジな私を、いつも優しく守ってくれたのは
双子の兄の方。
王子様みたいな彼に抱く恋心は、今も片思いのまま現在進行形だ。
諦める? 絶対にない。
なぜなら――これは運命だから。デスティニーなのだ。
え? 弟の方は?
悪魔です。説明終了。
うっかり話題を出して悪魔を召喚したら、私の寿命が秒速で消える。
封印です、封印! 悪霊退散!
……なのに、この恋は、思いもよらぬ壁にぶつかった。
衝撃で心が複雑骨折した気分だ。
なぜなら――
「あら、胡桃来てたの? 美味しいケーキ買ってきたの。一緒に食べる?」
「食べる! ありがとう、樹々兄!」
なぜなら――王子様は、いつの間にか美しいオネェ様へと変貌していたのだ。
私の初恋の人、
スラリと伸びる手脚、肩まで届く緩やかなウェーブの髪。
細めた目で笑う整った顔立ち。唇にはピンクのグロスが艶やかに光る。
正真正銘の“綺麗なオネェさん”。――それが、彼なのだ。
どうしてこうなったの?
恋愛対象が「男」になるなんて、夢にも思わなかった。
心の中で、お姫様姿の私がローリングしながら転げ回る。
王子様はどこ。ここはどこ。私は誰。
きっとこれは、悪魔の呪い……(だと信じたい)。
いつか姫のキスで、王子様を呪いから解放するのよ!(祈りにも似た決意)
「胡桃? さっきから百面相してるけど、大丈夫? 情緒不安定?」
「心の中で、たくさんの私と脳内会議してました」
「相変わらずトリッキーね。ふふっ」
その笑顔が美しすぎて、思わずカメラを構える。
しかし――背後から携帯をひょいと奪われた瞬間、悪魔が現れた。
上半身裸でタオル片手に携帯を覗き込む、双子の弟、
「半裸を見せるな。露出狂」
「ああ? 誰に言ってんだテメェ」
私の頬を引っ張り、半裸で凄むその姿――悪魔そのものだ。
羞恥心を母のお腹に捨ててきた羅々。成長と共に変貌を遂げた恐怖の化身。
「相変わらず樹々だらけだな、お前の携帯」
「私の宝物庫です」
「俺も同じパーツなんだがな」
「ジェネリック」
「テメェ……よーし、俺のセクシー画像をお前の待ち受けにしてやる」
「うわぁ! 異物混入するー!」
携帯を奪い返そうと手を伸ばすが、長身の羅々には全く届かない。
見かねた樹々兄が、呆れ声で一言。
「……もー、胡桃を苛めるんじゃないわよ。さっさとお風呂に入ってきなさい」
「チッ。おい胡桃、風呂に入るぞ。背中流せ」
「え?」
「ハイハイ。ケーキはちゃんと置いておくから、二人で行ってらっしゃい」
「そんな……樹々兄のばかー!」
こうして私は悪魔に首根っこを掴まれ、浴室へ強制連行される
―― だいたい、これが私たちの日常パターンだ。
王子様を目覚めさせるため、私は決して負けない。
露出狂の悪魔にだって……負けない。
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