ガチャガチャ

@Itigotyokoaisu

短編小説

 「むずすぎだって…」

1人の高校生、綾は授業中にボソッと本音をはいた。


 親はどちらも東大出身でお金持ち、そのおかげで私立の高校に入れたが、勉強が難しすぎて綾の頭には何も入ってこなかった。宿題も多く授業時間も多かった。そのうえ、頭が良くない綾は補充教室までしていたのだ。全て含めると1日の間に自由時間は3時間ほど。それ以外は勉強、勉強、勉強だ。綾はため息をつくとまたテストに取り掛かった。

 そして休み時間。

「んもー!勉強なんてやりたくないのになんでやんなきゃいけないの!?」

叫んんでいる綾を見ながら友達は肩を叩いていった。

「仕方ないよ、ここは波暮高校だよ、そもそもここに入ってきた綾が悪いのよ」

綾はそんな言葉を聞いて少し頭が痛くなった。紙のようにペラペラ〜っと椅子に座る。

「ガチャガチャしたーい…」

友達は一瞬驚いたがすぐに笑ってケータイを取り出した。そして何かを検索するとバッと綾の前に画面を出してきたのだ。そこには波暮地区のガチャガチャのある場所と書いたサイトが載っていた。綾はそれを眺めてまたため息をついた。

「結局1つだけじゃん」

友達は確かにと言うような顔でその画面を眺める。そしてニコッと笑うと

「じゃあここ行けばいいでしょ?」

と言った。綾の自由時間は夜の9時から11時まで。普通に考えると外には行けないが、綾は親が優しいためなんとか行けるかもと思った。

 そして夜の9時10分、宿題が終わった。綾は親に

「おねがいします…!」

と頼み込むと仕方なく許可をしてくれた。綾は友達の家に行き友達を起こすと、一緒に波暮公園に向かっていった。波暮公園は最近できた遊具中心の公園だが、その公園の隅には古びた石垣があり、その隙間にカプセルトイがあるという話だった。綾はとてつもなく狭い隙間を友達と一緒に入っていった。狭く感じるが、充分人が通れる隙間だった。そこの一番奥にはレトロな自動販売機とお目当ての50年前近くからあるカプセルトイが置いてあった。窓部分は大きく「おみくじ+キーホルダー」と書かれていた。綾はドキドキしながら百円を入れガチャ…ガチャ…と回した。すると、カラカラコロンッと鳴ってカプセルが出てきた。友達はついでにと言うと五百円で自動販売機のジュースを買った。

 2人は隙間の外に出ると掛け声をかけてカプセルを開ける。中からは可愛らしいくまのキーホルダーとおみくじが出てきた。おみくじには「大吉」と書かれている。綾と友達は顔を合わせて

「やったー!」

と喜んだ。わくわく気分でキーホルダーとおみくじをポケットにしまう。友達もそのジュースを大事にしまった。そして2人で帰った。綾は、帰ると、小学生の頃からため込んでいる大事箱にまたひとつ仲間を増やしたのだった。

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