灰色の瞳をした美女店主

Wildvogel

第一話 一名様限定食堂

 全国のあちこちを旅する宮城大地みやぎだいちは、暗い夜道を歩いていた。


「お腹空いたな……」


 周囲を見渡し、飲食店を探すが、灯火すら見えない。


 大地は一度歩みを止め、ジーンズの右ポケットからスマートフォンを取り出し、マップアプリを起動させる。現在地を確認し、周辺の建物を調べる。


「コンビニもないのか……」


 マップアプリには、コンビニエンスストアの表示すらなかった。


 大地は項垂れるように顔を俯け、マップアプリを閉じ、スマートフォンを右手に握りしめたままさらに歩んでいく。


 それからおよそ二十分後、大地は目の前に小さな光を見つける。


「なんだろ……」


 大地の足は徐々に加速していく。


 やがて見えたのは、木造の外観だった。


「一名様限定食堂?」


 軒先に設置された小さな看板に記された店名を声にすると、窓越しに人影が見える。


 その人物が客ではないことは、影の動きで分かった。


「テーブルを拭いて、どこかに歩いていった。きっと、店主さんだよな。てことは、お客さんがいないってことか。どんな料理があるんだろ。入ってみようかな」


 心配よりも興味がはるかに上回り、大地は取っ手のない木造のベル付きのドアをゆっくりと押す。ドアを完全に開け放つと、オレンジ色の照明が出迎える。


 ドアが閉まり、ベルがカランカランと音を立てる。


 やがてベルの音が止むと、一人の女性がキッチンから姿を見せる。


「いらっしゃいませ」


 女性は徐々の大地との距離を詰め、一メートル手前で歩みを止める。


 彼女は黒髪のショートカットで、灰色の瞳をしていた。


 

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