吸血鬼は黙って帰っていった
悪本不真面目(アクモトフマジメ)
第1話
「吸血鬼は?」
「もう帰ったよ」
「何も聞いてないが?」
「何も言わずに帰ったみだい」
吸血鬼は帰っていた。吸血鬼がいない部屋で川端と笹中は椅子に座って向かい合い談笑をしていた。笑い声は聞こえない。だけど人はこの様子を談笑と呼ぶ。
「明日のテスト自信ある?」
「ない」
「俺もないな」
「吸血鬼は数学強いから、アイツに教わればよかったな」
「アイツ数学強いんだ」
「あ、そうか同じクラスになったことなかったっけ?」
「ない」
川端と笹中は会話を続けていた。外は寒い風の音が聞こえる。
「雪降るかな?」
「吸血鬼大丈夫か?」
「手袋はしてたと思う」
「なら大丈夫か」
「そうだね」
川端と笹中はココアを飲んだ。ほぼ同時に口をつけた。お互い目が合い、ちょっと笑った。声は出なかった。
「明日の古文が自信ないわ」
「分かる、でも先生の吉岡の授業は好きだけど、脱線ばっかりだから」
「そうなんだよな~面白いけど脱線するから内容入らないんだよな」
今日は満月。
吸血鬼は月光を浴び、いつも以上に輝く。
扉を叩く音が聞こえた。川端と笹中は様子を見に立ち上がった。
途中キッチンの水道の蛇口のポタリという音がした。川端が蛇口をきちんと閉めにキッチンに行く。その間に笹中が先に玄関の方へと近づく。
蛇口をしっかり閉めた川端は玄関へ向かった。
玄関へ行くとポタリと音が聞こえた。
吸血鬼がこちらを見ている。口は開きっぱなしだった。
吸血鬼は黙って帰っていった 悪本不真面目(アクモトフマジメ) @saikindou0615
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます