第八章:年下好きのポジティブ論
水曜日のランチタイム、同僚の美咲(35)と社食で食事をしていた。
「ミクさんって、本当にいつもポジティブよね。私なんて、この年で未婚ってだけで周りから哀れまれてる感じだし…」
「哀れむ必要なんてどこにもないわよ。美咲だって、立派なキャリア持ってるじゃない」
美咲はため息をついた。
「でもさ、恋愛面でいうと…ミクさんは年下好きでよかったよね。年上好みだったら、年取るほど対象が減っちゃうもん」
ミクはコーヒーカップを置き、ゆっくりと言った。
「そうなのよ。これが私のポジティブ論の核心なの…」
彼女はフォークでサラダをとりながら、言葉を続ける。
「私が30歳で年下好きに気づいたとき、最初はちょっと複雑だったわ。でも、考えてみたらすごく理にかなってるのよ」
「どういうこと?」
「だって」ミクは少し目を細めて笑った。
「年を重ねれば重ねるほど、年下の男子は増えていくでしょ? 20歳のときは10歳年下なんて存在しないけど、30歳なら20歳、40歳なら30歳…対象は無限に広がっていくの」
美咲が驚いた顔をした。
「それって…逆転の発想よね」
「でしょ? 年上好みだったら、確かに20代のときは同年配や年上もたくさんいるけど、年取るほど対象は減っていく。30歳で40歳、40歳で50歳…いつかは限界が来る」
ミクは真剣な表情になった。
「もちろん、年齢だけが全てじゃないわ。でも、自分の恋愛傾向をポジティブに捉えられるかどうかで、毎日の気分は全然違ってくるのよ。私は年下好きでよかった、って心から思えるから、38歳の今もワクワクしながら過ごせるんだと思う」
美咲はしばらく黙っていたが、やがて小さく笑った。
「…ミクさんらしい考え方だね。私も少し見習おうかな」
その会話から数日後、ミクはSNSにこんな投稿をした。
《年下好きの最大のメリット:年齢を重ねるほど選択肢が増えること。これはある種の自由だと思ってる。もちろん相手の人間性が一番大切だけど、このポジティブさが私を支えてる》
いつも以上に多くの「いいね」が集まった。
同じように年下好きの女性たちから、共感のコメントが次々と寄せられる。
ミクは画面を見つめながら、静かに微笑んだ。自分の生き方を肯定できる――これほど心強いことはない。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます