わたあめ

茶村 鈴香

わたあめ

2年参り 寒いけど恒例行事

君と同じ玄関で靴を履く

戸締りの鍵も同じ鍵

そういう事が嬉しくて


参拝客の列は意外と短い

紅白歌合戦のフィナーレが

まだだからかな それでも

アスファルトの足元から冷えてくる


二礼二拍手一礼

「ずっと仲良くいられますように」

願い事はひとつと決めてる

お賽銭は五百円玉


お守りも破魔矢も頂戴しない

同棲生活「モノを増やさない」約束

でも明るい光を照らす屋台に

ふらふら2人で引き寄せられる


「焼きそば食べない?」

「食べたい」

「じゃがバターは?」

「食べたい、食べたい」


いつも横目で見るのは林檎飴

きれいだけど食べにくいんだよね

じっと観察してしまうのは

わたあめの外袋


鬼滅の刃にちいかわ

ハンギョドン

あ しまった

すみっコぐらしを見つけてしまった


「モノを増やさない」

私が言い出したミニマムな暮らし

でも袋一枚なら、さ

きれいに洗って引き出しに入る


歩みが遅くなった私の

視線の先に君は気づく

ちなみに君もすみっコが好き

恐竜の子どもが可愛いという


「すみっコいるね」

「いるねぇ」

「フルメンバーっぽいね」

「ぽいねぇ」


何にも言わずに人混み進んで

君はわたあめの袋を

手に提げて戻ってくる

「お年玉代わりにあげましょう」


わたあめの食べ方の

正解がわからない

直接食べようとすると

顔がべとべとになるし


ちぎって食べようとすると

指がべとべとになる

りんご飴もあんず飴も

お祭りの飴はすべてべとべとになる


「うちでゆっくり食べよう」

ヨーヨーを振る子どもみたいに

すみっコのわたあめを提げて帰る

「早速モノ増やしちゃったね」


すみっコのメンバー

私の好きな海老フライのしっぽ

ミニマムな暮らしが早速壊れた

でもいいや


「袋にヘリウムガス入れたら浮くね」

君もなんだか嬉しそう

わたあめは指をべとべとにして

つまんで食べた


ずっと仲良くいられますように

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わたあめ 茶村 鈴香 @perumi

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