溢れ出た記号‐名前‐
鮫島竜斗
第1話 記号なる名前
我々人間というものは労苦を背負わねば、どうも狂ってしまうらしい。
VRゲーム……正確に言えば"仕事"を終わらせた俺はそう推測する。
この
「ウィ、相棒。あいからず"労働"をした後はどうにも気分が晴れないようだな、気晴らしにいつもみたいに古書店めぐりか?飽きねーな」
俺のリバティ。アカウントネームはミミがフランクに話しかてくる。リバティはどうにもアカウントによってパーソナル出力がそうとう異なり、また変化する。
「でだな、相棒、その古書店は店主が私用で今日は休業らしい、せっかくの天気だ人目を気にせず"紙の本"を読める無料休憩所でもいくか?」
ちなみにミミというアカウントネームはAI、アイでeyeで目でIAでイアでearで耳でミミって皮肉るネーミングセンスさ、スケベ心で女の声にしてるしな。
「ん?いや、すぐ薄汚れたボロアパートに帰るよ、"紙の本"なんてこんな田舎じゃ目立つ。ここいらじゃそんなの読んでるヤツはいない」
俺としてはこのリバティが名前通り。自由……その邦訳が精確かはわからないが、になるか胡散臭いと思っているが、まあ、そんなことはこのミミはすでに計算内だろう。『汝、自身を知れ!』と哲学の標語みたいになってるか、その神託を授ける
「そうかい、まあ、たしかに統計的には少ないな、まあ、地方じゃ中心部に比べて文化資本が少ないのは明白だな」
そう、ミミは下品は話でも、不道徳な話でも、社会批判の話でもしてくれるし、商品も勧めない。俺の"ベストフレンド"といえる。気味が悪いくらいにな。
さて、半ば義務化したVRゲームを終えて、ボロアパート……部屋はゴミ屋敷だが、その扉を開けると。
女が一人。
最早レトロなディスクの裏面ようにサイケデリックにきらめく髪と瞳に、浅黒い肌。入院服。……おいおい、俺は30も半ばだボーイミーツガールとしてはオッサンすぎるし、ガールというには少しだけ幼くあどけない顔つきだな。
その上を超小型のドローンが徘徊し光を放っている。よく見れば靄みたいなものも薄くある。
プロジェクションか。
「ミミ、これは、新しい療養か?」
俺は患者より画面を見ることが多いであろう精神科医からASDやらパーソナリティ障害やらと診断されてるらしく、たまに勝手に治療のための療養キットが送られ勝手に作動している。
「んー、もしかしたらなにかの試供品かも知れませんね」
デジタルデバイスはすでに警察に連絡を自動でしている。
つまり、ミミはコイツはナニモノか?いや最低でも
そう、コイツはヤバい。
脂じみた冷や汗が背中から吹き出る時の痒みが脳神経系を興奮させてる。心臓、血管を感じる。
「ああ、警察は来ませんよ。うん。」
5つあるドローンのうち一つが高速でこちらに向かい俺の周囲を見渡した後。戻る
「はい。IDvvk0008529。ライヒさんで間違いなく?ああ確認ですね。意味はないですけど」
幼く少女のプロジェクションがそう音声を出す
「アナタは何者なんですか?なにをしに?あまり価値あるものや人はここにはありませんよ?」
ミミはフランクにしかし露骨に探ると
「うーん、まあ、今は極秘プロジェクトの……逸脱的結果を起こした者として扱ってください。私はそうですね私の目的上ふさわしい名前は」
そう、と一息ついて
「マリア………とラベリングしてください」
と言った。
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