天狗笑い

バート

–– Moon of the Otherworld ––

山深く、山伏がひとり岩陰に休んでいた。


––ケラケラケラ––


突如の笑い声に辺りを見るが、なにもない。

カワセミも笑うと聞くが……

天を見やれば、古金満月こがねまんげつ––


「……天狗様、かの?」


山伏とは、里に降りらば、天狗と見紛う事もあるもの。

ならば「本物に挨拶を」と思い立つ。


月の灯、真昼のごとく。

修験の道はまだ半ば。

ならばと立ちて、声を探して草分け進む。


深い藪、木立の奥に人にも見える影ひとつ。

もしやと思い歩みを早め、やや数歩––不意に月が翳った。


しかし影まで、いま一歩––


  ––足が空を踏んだ。



ああ、しまった。

せめて一目と声の主人へ顔を向け……


………


––––目が合った––––


………



––どさり。



––古い書に、山深くのカワセミは、月夜にも鳴くものともあるが……


……さて……




––ケラケラケラ––






——————

後書き

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