リーデイキャッチザブルー

神野 兎

第1話


今日はついに笑いの神が祀られているという笑福神社に来た。なぜこの神社に来たかというとそれは単純。 面白くなりたいからだ。面白くなってクラスの人気者になりたい。それは皆心の中で持っている願いなのではないだろうか。面白くなりたいからといって努力もせず、すぐに神頼みをする時点でもうつまらない奴だとおもわれそうだが、ここまで来てしまったので仕方ない。賽銭箱の前に立ち、お金をどれほど入れようか思案する。相場は5円な気はするが、なんか少なければ効果が薄い気がする。とりあえず穴が空いていれば大丈夫だろうということで50円を入れる。

ガランガラン

ペコペコパンパンペコ

2礼2拍手1礼を決め、願いを唱える。

 「面白くなってクラスの人気者になれますように」

お参り終了.......。

 いや、何をしているんだろう。

ふと我に返る。分かっていたことではあるがこんなことをして面白くなる訳でもあるまい。ましてや人気者なんてもってのほかだ。さっさと帰って好きなアニメでも見ようと鳥居へと歩を進めることにする。 

「おい」

今日は何を見ようか。今期のアニメを追うのもいいが、まだ消化しきれてない作品も結構あったはずだ。

「おい!!」

先程薄っすらとしか聞こえなかった声がはっきりと聞こえた。周りを見渡す。人は1人もいない。

 え、怖。

「そこの面白くなりたいからといって何の努力もせず、面白くない理由で五十円玉を入れ、神頼みをしているお前だ」

間違いなく僕を呼んでいる。

そしてなぜそのことを知っているんだ。もしかしてと思い、振り返って神棚の方を見ると ……何もない。

なんだ気のせいか......てうわああ。

「リアクションだけは満点だな」

思わす尻込みしてしまった。モクモクと雲のようなものが視界を覆い、目の前に神様らしき僕より少し幼いくらいの可愛い女の子が急に現れた。浮いてるし、なんか杖みたいなの持っている。見た目若いのに、案外老いてるのか。

「あびゃぴゃびゃ」

急に電撃が走る。痛い。かなり痛い。

「お前面白くない上に失礼なやつだな」

聞かれているのか。

「すみません」

「それでそのーどなたさまですか?」

「見たら分かるだろ。神だ」

いや、分からないでしょ。

でも、この不可思議な力と見た目的に超神様っぽい。 

「それで神様が何用ですか?」

「それはな。お前の望みを叶えてやろうと思って」

「本当ですか!?」

「ただし、あくまで私がするのはお前が面白くなれるように何度も訓練させることだけだ」

神様の言ったことがあまり腑に落ちない。

「つまり、どういうことですか?」

「お前が笑いを取り、私が納得するまで一日が終わらないということだ」

「さすがにそんなこと出来ないでしょ」

神様でもあるまいし。いや、この人神様なのか。

「まあ、とりあえず明日普段通りに学校を過ごしてみろ」

「分かりました……」 


あの時以降、神様が僕に話しかけてくることは無かった。 神様に今日は普段通りに過ごせと言われたので普段通りに過ごす。もう気づいたら学校終わったんだけど! 学校からの帰り道なう。

「お前の1日は本当につまらんな」

突如として僕の心に強烈パンチがとんできた。

「すみませんそれは許してください。とりあえず今日はこれでいいんですか?」

「まあ、今日が終わればな」

なんですか。その意味深な返事。 まさか、本当に今日が終わらないとかいう感じですか。

「寝たらわかる」

その言葉だけを遺し、神様はどこかに行ってしまった。さらっとあの人に僕の考えてること全部見透かされているなあ。それに僕は結局あの人のこと何も知らない。 まあ、いいか。

 その後神様が僕に干渉することはなく、ついに就寝時間となった。 しっかりと明日の時間に目覚ましをセットしておやすみと心の中で唱えて眠りにつく。


目覚ましに起こされ、時刻を見ると7時30分。 なーんだ。普通に時間たってるじゃん。 いや、ん? あれ? 日付が......変わってない……。

「気づいたか?」

「まじなんですね」

「ああ。まじだ」

なんですか。その妙に腹立つドヤ顔は。

「こんな風にお前がいつものようにつまらなーい生活をすればこうなる。だから今日は頼んだぞ」

「手助けはしてくれないんですか」

「まあそれも私次第だがほとんど手助けをする気は無い。笑いのスキルは経験と学習だ。お前自身の努力次第でどうとでもなる」

それはやばい。 このままじゃ永久に今日を繰り返すことになってしまう。まず昨日(今日)のことを振り返って笑いを取れるポイントを探さないと。 いつも通り授業を受けて、休み時間は突っ伏すか勉強。 昼ごはんは1人で静かに食べてその後また寝る。 あれ、僕の人生つまんなすぎやしないか

「まずお前の場合は会話で笑いをとることから始めろ」

「会話ですか?」

会話……えーと会話か。 体育の授業のサッカーの試合の時……「おい、スルーすんなよー」 「ご、ごめん」 いや、これは会話じゃないな。

えっと他には一。

「あ!?」

「何だ急に」

「僕、今日小坂さんと喋りました」

「小坂って掃除が一緒だった時の子か」

神様は僕のことに関してはお見通しなのか小坂さんについても知っているようだ。小坂さんは黒髪ロングが良く似合う清楚な学級委員だ。

「そうです。その時箒を持ってきてくれて、僕ありがとうって言いました」

「いや、それは……」

なぜそんなに居たたまれないような顔をするんですか。これでも僕からしたら会話なんですよ!

「まあいい。そこでその子を笑かしてみろ」

「無理ですよ。そんなの!」

「挑戦せずしてお前の望みは叶えられん。1度やってみろ」

「なーに心配するな。何度も繰り返すうちにいつかは慣れるさ」

「失敗前提!?」

 神様はニヒルな笑みを浮かべて悪魔のようななことを口にする。たとえ何度繰り返すとしても、僕が笑いをとるなんて無理だよ流石に。


 ついに今日の学校生活も最後の掃除時間となった。

ちなみに、サッカーの1件は昨日の反省を生かし、しっかりとボールを蹴るとまさかのゴール。初めてみんなの輪にはいれた気がしてとても気分がいい。ぜひこのムードの中今日を終わらせたい。

教室の中で僕が待ってると小坂さんが箒を持ってきてくれる……緊張の瞬間

小坂さんの姿が扉付近に見える。ここで1つ秘策を考えてきた。というより、僕は笑いについて学習した。古来より、面白いと思われてきたもの。 温故知新。

それは何か? そう、ダジャレだ。

 その上、僕1人で考えても間違いなく滑る。だから、とりあえず笑いの宝庫であるインターネットから引用させていただいたダジャレを披露しよう。僕はこれから笑いある人生を送るんだ。

「はい。八重野くん」

さあ、聞いてくれ。小坂さん。

「サンキューベリーマッチングアプリ。ぽぽーん!!(通知音)(したことないため想像)」

「え?」

あ、死んだ。クラスのみんなからの冷ややかな目を背に受け、 僕は教室を飛び出した。ごめんなさい。掃除までサボって。 これにて、やり直しが確定する。 明日(今日)ちゃんとするので許してください。

「どうしたそんな泣きそうな顔をして」

「どうしたもこうしたもないですよ。ドンッ滑りしたんですよこっちは。なんかぽぽーんとか付け加えちゃったし」

「面白かったぞ。ククッ」

 生憎、そんな嘲笑のような笑いは求めていない。もっと僕はワハハと笑って欲しかった。全然こちらとしては笑えない。そして、途方に暮れた気持ちのまま今日が終わる。結局あの状況の打開策を考えつくことは出来なかった。カーテンから漏れた光に朝を実感する。珍しく目覚ましより早く起きたためアラームを解除しようと手を伸ばす。

「あ、あれ?」

日付が進んでる!?

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